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一考 | 限られた金数

 りきさんへ
 芥川龍之介「芋粥」論を著された方ですね。今後ともよろしくお願いします。
 中間にアナトール・フランスを挟めば、芥川とダンセイニの比較にさしたる無理はないと思います。「新思潮」の同人に久米正雄や菊池寛が居ますし、松村みね子と芥川と堀口大学は恋の鞘当てを演じた仲ではないですか。「無茶な論考」どころか、頗る至当な根拠のある論攷と思います。貴方のこれからの活躍に期待します、頑張って下さい。
 カミユとダンセイニの比較の方はのっけから滅茶苦茶なデペイズマンコ?だと思います。一方は情念とのクリンチが売りの作家で、一方は乾いた観念派、何処に接点を求めるのか、金光さんのお手並み拝見ですね。
 金光さんは先日、宇野邦一さんからいささか突っ込まれていたようですが、あれは彼のユニークな励まし方です。自らの意見を簡略かつ直裁に述べる癖を日頃から付けておいた方がよいとの、彼一流の優しさなのです。私なら金光さんの意見を聞き流してお仕舞いなのですが、啓蒙家としての宇野さんの意外な面に気付かせられました。
 いずれにせよ、宇野邦一さんは現在のフランス文学者の中で、もっともアクチュアルにしてラジカルな思索者です。一筋縄ですむ相手ではなく、こわい人ですよ。

 りきさんは高価な人形を買われたそうですね。私は書物にしても5000円を超えるものは購入致しません。泉鏡花や木下杢太郎、日夏耿之介等を蒐めたのも、当時は顧みる人もなく安かったからであって、人口に膾炙し値の上がったものには些かの興味も持たないのです。忘れられたまったく無名の作家を発掘するのが読書の醍醐味でして、「ドグラ・マグラ」や「黒死館殺人事件」の初版は値が上がった時に叩き売って文庫を買い求めました。文庫本で読めるような作家は文庫で十分ではないでしょうか。限られたお鳥目なれば有効に遣いましょう。



投稿者: 一考    日時: 2002年03月06日 11:57 | 固定ページリンク





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