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一考 | コーベブックスのことなど

 Campgnoloさんへ
 貴重な葡萄酒を有難う御座いました。高遠弘美さんがいたくご執心の様子にて、半分近くを飲まれたと思います。
 お手紙に著された神戸の惨状に衝撃を受けました。南天荘の閉店も知らず、北風家の書店が全て消えてしまうなど思いも掛けなかったのです。ご存じの通り、北風さんはご子息に経営のすべてを譲るとのことで、ほどなく村田さんは三宮ブックスを起こされました。紆余曲折はありましたが、90年代初頭には幹部社員のほぼ全員が解雇されました。店員は素人さんのみにて、人件費も掛かろう筈がなく、コーベブックスはともかくとして、南天荘が閉鎖されたとは驚きです。詳細は判じかねますが、バブル期に悪しからぬ投機に走ったのではないかと疑いたくなります。篠原本町だか北町だかの能舞台をしつらえた邸宅はどうなったのでしょう。いずれにせよ、ご子息には経営手腕がなかったということになりますね。

 板宿村の庄屋であり、神戸新聞の前身である波でしたっけ、を起こした村上家と共に神戸では古い家系と聞き及びますが、世の中分からんものです。神戸が出身地の某大型書店にしても、来年末から有利子負債の返還で大変なことになりそうです。現行の出版流通形態の崩壊が遅くとも2004年には始まりますので、書店そのものの屋台骨が大きく揺らぎます。新刊配本と委託配本が滞りなく続くと思っている版元が大方を占めるのですが、その脳天気さには呆れ返る次第です。言い方を変えれば、コーベブックスの閉鎖は潮時だったのかも知れません。
 ところで、書店Bのご主人とは何度か酒を酌み交わしました。気のいい人で、酒の嗜み方は黒木の息子さんとは正反対。元町から三宮に掛けての安居酒屋のアナザー軒が懐かしく思い出されます。新開地の愛愛、福原のよしのと新橋、元町の金杯と吾作、三宮の樽八と八島、新在家の大学等々。当時は「あまざけのくがだち酒のたぎちざけ」よろしく、友と呑む酒は熱燗と相場が決まっていました。ウィスキー浸りの日々だったのですが、さすがに六さんが逝ってからは日本酒が恋しくなりました。
 人は描かれては波に掻き消される暫定的な存在、すべては切なく哀しいものです。

 追伸。黒木の娘さんはコーベブックスを結婚により退社、北海道へ行った筈なのですが。今は神戸にお住まいなのですか。コーベブックス時代に私の専用電話を利用して、連日北海道へ長電話。会計を担当なすっていた木庭さんから、電話代がかさむとの叱責を受け、人の恋路の邪魔をするなと応えたことなどを思い出します。



投稿者: 一考    日時: 2002年02月14日 03:04 | 固定ページリンク





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