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一考 | 西脇順三郎のことなど

 中村さんへ
 3日、日曜日の催しは書肆山田の新年会なのか、ソシュールの研究会なのか、無事終えましたものの、いまだ定かならず。木曜日に高橋睦郎さんが、土曜日に宇野邦一さんがお見えになられた後の前田さんだったものですから、いささか複雑な心境で御座います。いずれに致しましても、無事手打ちと申しますか、仲直りしたことに変わりなく、またまた、大泉女史の手のひらで遊ばされたなあ、との思いが強う御座います。
 徒し事はさておき、中村鐵太郎さんの西脇順三郎論には期待致しております。審美社より上梓された近藤さんの西脇順三郎論を除き、未だ西脇翁に相応しいエッセイは刊されておりません。
 確かに「Ambarvalia」と「旅人かへらず」の距離よりは、その次の詩集「近代の寓話」への移行に更なる苦渋があったことは容易に察しがつきます。例の永遠の問題にしましても、三好達治が本当にかようなことを口にしたのかどうか、存疑を覚えますが、いずれにせよ、天衣無縫なシンクレティシズムが確立されたのは「第三の神話」ではなかったかと。そしてそのシンクレティシズムにこそ、わがアナロジーの魔を窺うわけで御座います。西脇さんの詩集を年代順に繙く時、彼と女性との問題、即ち係わり合い方が唯一の「野をひらく鍵」になります。西脇順三郎の女性観、女性像もしくは西脇が抱く「女」の概念を語らずして西脇詩を論じたことにはなりますまい。以上、貴方が現在、稿を進めていらっしゃる西脇順三郎論に多大な関心を払っている理由を述べました。ご健闘を祈ります。

 先だって当掲示板にて「敷衍曲」なる徒書きを認めましたが、その中で西脇さんの「マラルメのメはまなこなり」を引用、マラルメ同様、西脇詩におけるアナロジーの地歩を示唆致しました。それに対し、高遠弘美さんから素敵なメールが送られて参りました。ここにはフランス詩が得意とするライト・ヴァースのポエジーが流れています。高遠さんの許可を得て、全文を掲載させて頂きます。

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先夜も、いつものようにすこぶる愉しい夜でした。
ありがとうございます。
これから仕事に行く前なので、簡単に書くことをお許し下さい。
掲示板にお書きの「魔羅LE目」には大いに目を開かれました。面白い!
そこで、それに続いて(アクサン記号は省きます)以下のような戯れうたを。

魔羅LE目
Mal arme(二語目の最後のeにアクサン・テギュ)「弾を装填されていない」
m'alarmait 「俺にショックを与えた」
ma larme et...「俺の涙、……」

「魔羅に目があり、挑んでみたが、
 弾が不足で、撃てもせず
 如何にせうとて
 泣くばかり」
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投稿者: 一考    日時: 2002年02月06日 21:07 | 固定ページリンク





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