ですぺら
ですぺら掲示板1.0
1.0





« 前の記事「マラルメ学者の件(どうでもよいことながら……)」 | | 次の記事「お邪魔をいたします」 »

一考 | 押し寄せた貧困

 皆さんへ
 やっきさんが引用していた「落ちぶれた男ほどエロティックなものはない」はいい言葉ですね。頻繁に風呂に入りたがる男と財布を持ち歩く男を私は信用しないことにしているのです。ひと昔前ならポマードを塗りたくった男とネクタイを締めた男だったのですが。
 私が女だったら、浮浪者に輪姦されるのを夢に見ますね。顔が見えないというのが刺激になって、具合がよろしいのではないでしょうか。落ちぶれるとは自らの顔、すなわち矜持とか自信とか誇りなどが肉を削ぐように喪われて行くことでしょう。人品が赤裸になる、落ちぶれるとはなんと麗しい契機ではないですか。
 「ですぺら」に貧困が押し寄せて来ました。と言っても「藤澤清造貧困小説集」が金沢から送られてきたのです。御注文頂いた伊藤、柿沼、金光、斉藤、高遠、樽本、芳賀、増田各氏に感謝。勝井さんに代わりて満腔より深甚の謝意を表します。鹿島の鈴木さんにも深謝、貴方の好きなドライ・ジンは英国では労働者が好んで嗜むお酒。貧困小説集は肴に相応しいものと思われます。残部は一冊ですが、それに関係なく、一層の宣伝を皆様にお願い致します。
 書冊に勝井隆則さんの長文の手紙が添えられていました。種村さんからの聞き通いに補正を施したもの。「戸や窓をしめても、ちゃんと家の中に吹き込む雪が盛り塩の如く積もります。暖房はコタツひとつ、厳冬には部屋が0゜近くまで冷えこみ、死ぬ気で買ったMacが寒くて立ち上げられず、毎冬、Macは冬眠を余儀なくされることになりました」と著されています。いい味の出た書簡です。いずれ詳細を御紹介致しましょう。
 阪神大震災の後、拙宅は壁が崩れ、窓や戸がきちんと閉まらなくなり、部屋の中を煙草の煙が走り、庭を乾反葉が舞う有り様。金沢ほどではないにせよ、室温は常に2~3゜、女房から苦言と小言を頂戴する日々を送りました。何時の日か種村さんをお呼びして「ですぺら」で、勝井さんを囲む会でも催したいものです。題して「餓死作家列伝」を語る会。



投稿者: 一考    日時: 2001年12月05日 16:23 | 固定ページリンク





« 前の記事「マラルメ学者の件(どうでもよいことながら……)」 | | 次の記事「お邪魔をいたします」 »

ですぺら
トップへ
掲示板1.0
トップへ
掲示板2.0
トップへ


メール窓口
トップページへ戻る