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一考 | 高遠弘美さんのことなど

 奥歯さんへ
 これは櫻井さんのふくらみへの憧憬じゃないですか。男と女ではふくらみの場所が異なりますし、些か成分も違えます。ないものねだりは麗しい心意気であって、非難には当たらないと思いますが、如何なものでしょうか。信仰するものは極端に尊く、然らざるものは乱離骨敗との鏡花世界の一端なのですよ。櫻井さんの中にも斉藤磯雄、松山俊太郎、高遠弘美各氏と同種の血が流れているものと思われます。
 ちなみに、高遠さんの随筆集「乳いろの花の庭から」(ふらんす堂)所収の「いつの日かフェルメールを見にどこかの町へ」へは頗るユニークなエッセー、そしてロミの翻訳「乳房の神話学」(青土社)は澁澤さんのネタ本の一冊。また、今回種村季弘スペシャルのために著されたエッセーは一随に師を憶う稀代の卓筆。文学翫賞家としての本領を発揮、再構築された資料と種村季弘に対する愛情の念とが渾然一体となり、鮮やかな種村像を浮かび上がらせている。とりわけ、結句は文句なしの傑作。読み手をして慟哭を与えるような文章との出会いは、吉行さんの死後絶えてなかった。かたじけなく存じます。



投稿者: 一考    日時: 2001年10月26日 16:00 | 固定ページリンク





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