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一考 | 隆さんへ

 久しぶりですね。父としての責務を抛り投げた情けなくもだらしない私の掲示板へよくぞ書き込んでくださいました。忝なく思います。
 君の書き込みには感じ入りました。自己と他者との葛藤の渦中にあるということがよく理解できる文章です。説明は端折られていますが、結論の「大部分が被害妄想」には異議なく、「『キレる』はなにか自分に対する不快感に対して即座に反応する事を指」すとの指摘には賛同します。「キレる」の因果関係を他者に預けるのではなく、自らへの「不快感」へと帰結させるあたりは立派にひとつの識見を示唆しています。
 「低俗」への癇癪をひとこと挿んだうえで、メディアリテラシーの必要を説く。正論すぎていささか物足りなさも感じますが、そこのところは君の年齢を考慮に入れて、まずは及第点です。「無責任な親」は耳の痛い文言で、「猿になった掲示板主宰者」としては頬被り、黙りを決めこむしかなさそうです。

 ウエブサイトでの書き込みにもっとも欠落しているものは他者ではないかと常日頃から思っています。知識の披瀝も購入図書の羅列もなかみは同質、独りよがりの書評や自己中の日暦の洪水のなかにあって、対象のようなものがまったく窺えないのです。ひとがどう思うだろうか、ひとからどう思われるだろうか、世間を騒がせたい、衆目の的になりたい、それらは大方が同根で、しみったれた自己とみすぼらしい他者では絵にもなりますまい。そもそも自分を振り返ってくれるようなひとなど、世の中に居ようはずもなく、自己と他者との鬩ぎ合いは自意識のなかで繰りひろげられる修羅なのです。それは「子供に植え付ける」あるいは教育できるようなものではなく、自らの摂食脱糞のなかから個々が学んでいくしかないのです。
 電話や手紙などのパーソナルメディアとインターネットや携帯電話などの新しいメディアとは新旧の差こそあれ、中味も利用方法も同じです。従って、手紙を書かないひとにメールなど書けるはずもないのです。そして文章を著すのはひとに読んでもらうためではなく、自分の考えを知り、まとめるための最良の手立てです。与えられる青春の期間はわずかに五年、自棄になる限界まで自意識を研ぎ澄まされんことを願います。──パパ君より



投稿者: 一考    日時: 2005年12月30日 00:29 | 固定ページリンク





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