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一考 | 「ぼう」あれこれ

 りきさんへ
 同人誌の名が「某」だとか、面白いですね、結構ついでに毎号「ぼう」の字を変えてみたらいかがでしょう。
 細胞内部の浸透圧と外部の浸透圧の差を膨圧といいますが、動物には細胞壁がなく、細胞の最外層は薄い細胞膜なので細胞を水中に入れると膨れて破裂します。従って、動物に膨圧との概念は通用しないのですが、植物細胞は堅い細胞壁で覆われています。水によって体積を増した細胞が、堅い細胞壁によって押さえつけられて膨圧が生じます。膨圧は数気圧から数十気圧に達することもあります。はなしがややこしいですが、椿実や「白樺になる男」なら「膨」でもおもしろいですね。
 イネ科の多年草に血茅がありますが、根茎は鱗片に覆われ、発達して深く地中を横に匐い、きわめてじょうぶで、地上部が焼き払われても枯死しません。されば「茅」なんぞ、千の肺を持つフォルヌレにこそ相応しいのではないかと思います。「ホテルの時間は、鳥のない翼だ」をマクタガート風の「非実在の時間」と通底すると仰有ったのはプヒプヒさんですが、私なんざあ、紡脚類のシロアリモドキを想い起こします。樹皮の割れ目などに、前脚の膨れたふ節にある腺から糸を出し、幕を張って巣をつくるので、紡脚の名があるのですが、あの生命力のしぶとさと雌に羽のないところはフォルヌレに通底するのではと、だって草叢のダイヤモンドの女性に対する性愛は異常そのものではないですか。従ってこの場合は「紡」ですね。
 岡本かの子の河明りに「主人側の男たちは靉靆として笑つた」との一節がありますが、この靉靆は古くは眼鏡のことであり望遠鏡のことなのです。遠方の物体を拡大して眺めるのがミカエルの世の拗ね方なのですが、あれは拗ねてるのか諦めているのか、ひょっとしたら悦に入っているのではないかと読み手をして迷わせるようなところがあります。されば「望」も可能ではなかろうかと。
 新しい雑誌の不死を願って萌芽林の「萌」もよろしかろうと、芽を吹くのは切り口付近の定芽、不定芽、休眠芽と相場は決まっていますが、文学の切り口と解釈するのも洒落ているのでは。ついでに、創造的思考は冒険的思考ともいい、波瀾万丈の旅を示唆する「冒」などもありますね。「惘」や「貿」だとですぺらの私小説になりますし、「茫」「蓬」「莽」なら得意の臍下三寸のはなしになってしまいます。以上、箸にも「棒」にもかからないはなしで御座いました。



投稿者: 一考    日時: 2005年11月15日 20:42 | 固定ページリンク





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