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一考 | 言論の自由2

 Hさんへ
 先に「厳正な法整備が急がれます」と述べました。憲法が理念なら法律は規制であるべきです。規制は時代の変遷もしくは要請に応じて変化していきます。車がない時代に道路交通法はなかった、すなわち犯罪のないところに法律は必要なく、逆に言えば法律がなければ犯罪は存在しないのです。犯罪は刑法その他の特別法や行政取締法規の規定により、刑罰を科される行為なのですが、その根拠はモラル、すなわち道徳の退廃にあります。例えば、著作権が重んじられ保護されていれば著作権に関する規制もないわけです。モラルを守らないひとがいるので、次から次へと新たな法律が生まれ、規制のためまたその事務方にと多くの役人の雇用が必要になってきます。私にいわせれば、一部のモラルを守らないひとのために、無駄な税金が湯水のごとく費やされているのです。
 思うに、法律で規制されるような事柄は概ね常識の範疇で片付くようなものだと思っているのです。自らの思いを通そうとすれば、他者の思いにこころ致さねばなりません。こちらの思いとあちらの思いの兼ね合い、垣根をどのあたりに設けるかがもっとも肝要になります。だって、掛け違えると諍いになるからです。この自己と他者の弁証については当掲示板で一年にわたって書き継いできたので繰り返しません。
 あなたが専門になさるネット社会(もちろん、すべてを指してのはなしではないのですが)は、私の目には揚げ足取り、他者への誹謗中傷のオンパレードのように見えるのです。それも、相手方の論旨を無視したところに大きな問題があると思うのです。例えば、コイズミを非難するのであれば、彼の政治理念の至らなさや危険性を政治理念でもって論難すべきなのであって、若い頃の過ち、要するに重箱の隅を楊枝でほじくるようなことをいくら試みても、あちらさんは傷付きもしません。誹謗の相手が公人の場合はまだ許せるのですが、対象が私人となれば、これはその時点でモラルの無視であり、言葉の暴力の行使だと思うのです。そのような無神経かつ雑駁な輩に発言の場を与えてしまったところに、ネットの怖さがあると思うのです。ただし、車とは異なり、ひとに発言の免許の取得が必要とは申しません。そして検閲にも反対です。とは申せ、無視してすむ問題でもありますまい。車が走る凶器なら一部のネット社会は喋る凶器とでもいう他なく、個の尊厳への裏切りは殺人や窃盗や泥酔運転となんら変わらない犯罪だと思います。私ごときアウトローが敢えて「厳正な法整備」と述べた理由はそこにあります。もっとも、新たな法的規制が公人の擁護に利用されるのは必定、繰り返しますが、一握りの心ないひとのお陰で、日本は官僚や政治屋の統制する全体主義国家へと転げ落ちつつあるのです。



投稿者: 一考    日時: 2004年06月24日 20:40 | 固定ページリンク





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