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一考 | 寄贈御礼

 年末にまた貴重な書冊を恵まれました。白石かずこさんの「浮遊する母、都市」、中堂高志さんの「菜の花句集」、川崎洋さんの「旅ゆけば」、種村季弘さんの翻訳「科学の結婚」、到津伸子さんの「不眠の都市」の四著訳書です。
 到津伸子さんは池田満寿夫さんの映画「エーゲ海に捧ぐ」に出演されていますが、著名な画家でもあります。77年パリでの展覧会を皮切りに、82年ジョルジュ・バタイユ生誕百年展招待出品、また海上さんの斡旋でUNAC・TOKYOと西武渋谷店全館及び同ギャラリーで個展が催されたのでご存じの方も多かろうと思います。画文集も上梓されていますが、本書ははじめてのエッセイ集です。はじめてお会いしたのは82年、大月雄二郎さんの紹介でした。山本六三さんと会われたあと、明石市太寺3丁目の拙宅へ来られたと記憶します。即興で題扉へ描かれた猫の画と「神戸のことも書いたのですよ」とのお言葉を添えて頂戴したのですが、随分と味のある記憶の物語(モザイク)を構築なさったと驚いています。横須賀さんも到津さんの能動的ニヒリズムを讃美なさっておられました。版元は講談社、定価は2500円、お薦めの一本です。
 昨年も百冊を超える書物の寄贈に与りました。心のなかで涙し、感謝致しております。ありがとう御座いました。

 岩波文庫から上梓された種村季弘さんの「詐欺師の楽園」と森銑三さんの「おらんだ正月」を頂戴、架蔵させていただきました。「新橋の狸先生」「明治人物夜話」「俳諧博物誌」「団扇の画」等々、小出昌洋さんの編集になる森銑三本の上梓が続きます。小出さんは森銑三さんの弟子で、吉川弘文館の「日本随筆大成」全巻を編集なさった方です。大阪の肥田晧三さん(「上方学芸史叢攷」青裳堂書店刊「上方風雅信」人文書院刊など有り)と共に碩学として書誌学者としてもっとも尊敬しています。それにしても、書誌学者に甘党や下戸が多いのはなぜなのでしょう。肥田さんも饅頭や羊羹の食べ過ぎでほとんどの歯が抜け落ちています。
 88年に研文社から森銑三さんの「書物の周囲」を上梓しました。小出さんとの愉快な編集の日々が憶い起こされます。また、野溝七生子さんが新橋の第一ホテルを栖になさっていた頃、何度か一緒にお会いしました。あの頃は私もスマートでいまよりはお洒落だったのですが。



投稿者: 一考    日時: 2003年01月27日 12:14 | 固定ページリンク





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