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一考 | モルト情報10

 ですぺらモルト会第一回目を無事に終えることができました。有難う御座います。
 長時間にわたり、ウィスキーの香味の話に専心できたのを嬉しく思います。特にベンローマックとバルブレアに関しては異論百出。通常、このような会は蒸留所の歴史などの蘊蓄の披露に終始するのが常ですが、生体解剖に興味は有っても死体解剖に店主はいささかの興味も抱きません。人は時代の子、あくまで香りと味わいを捻弄するとの現場主義でありたいものです。
 バルブレアはマッカーサー社、ダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスクやゴードン&マクファイル社の旧コニッサーズ・チョイス所謂白コニと黒コニでボトリングされていますが、いずれもが30年超の熟成品です。若いモルトではマキロップ社の16年ものカスク・ストレングスと現行のゴードン&マクファイル社の10年ものしかありません。
 バルブレア蒸留所はアライド・ディスティラーズ社の系列で、同社のバランタインの主要原酒でしたが、現在ではノックドゥー同様、インバーハウス・ディスティラーズ社が所有。インバーハウス社初のディスティラリー・エディションの16年ものは旧ボトルと比して西洋梨の香りは消えましたが、全体に軽く穏やかな味わいは変わりません。問題は今回試飲したゴードン&マクファイル社のバルブレアです。73年蒸留の21年もの40度、100周年記念ボトルの一本です。
 若い味わいが売りのバルブレアにもかかわらず、初手は樽由来の強烈な渋み、オロロソ・シェリー樽で長期熟成されたマッカランやロングモーンの行き過ぎた苦みを想起致しました。ところが舌の上を転がすと、シェリーではなく、バーボン・カスクの趣です。ここで思い起こしたのは、内側を異常に焦がしたバーボン樽を熟成に用いるマノックモア蒸留所の得意芸です。一味ではなく七味のピリッとした辛さ、ぼてっとしたやや締まりのないボディの厚み、これらから推察するにエズラ・ブルックスの樽を熟成に用いたのではないかと。かかる勝手なちゃらんぽらんな想いに身を委ねている間こそが至福なのです。
 ベンローマックは飲むほどに苦みが増すモルト・ウィスキーです。根生姜、がり、茗荷を思わせる苦みです。飲むにつれ、もろみ味噌が恋しくなります。もろきゅうでもよろしいのですが、胡瓜のサクサクした食感はウィスキーには馴染みません。私は焼き味噌が欲しくなりました。大阪の行きつけの居酒屋で食した北京味噌もしくはしゃもじに塗りつけて焼く蕎麦味噌を懐かしく思ったのです。
 などと埒もない第一回目では御座いましたが、まずは御参加くださった方に感謝。ですぺらモルト会第二回目は12月21日の土曜日です。お誘い合わせの上、御来店頂ければ幸いです。次回からは口直しに日本味のさっぱりしたビールも用意致します。



投稿者: 一考    日時: 2002年11月28日 20:06 | 固定ページリンク





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