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一考 | 闇の階調

 横須賀さんへ
 貴方が当掲示板をお読みだとは意外でした。御指摘の通り「数年後の君に」と題した書き込みは山本六三さんについての文章「友の死に思う」の末尾に引用した高柳重信さんの句への返しであって、けっして息子のことを書いたのではありません。思うところあり、ちょいとばかし、入り組んだ書き込みを致しております。しかし、貴方が仰るように私が述べたいところはおおよそシンプルです。スタンスの如何を問わず、表現とは自己欺瞞の極地にしか横たわってはいないのですから。
 それにしましても、かくまで深読みをされますと面映ゆく思われます。と申すよりは貴方のような方と出逢えたことを嬉しく思うのです。親友とは裏切り裏切られるためにのみ存在します。それを承知の上でのお付き合いですから、なおさら嬉しいのです。
 当掲示板も今月で一年になります。言いたいことがあれば、原稿用紙に書くべきで、掲示板には違った用途がありそうです。先日もウィスキーの先達から前代未聞のホームページだとお褒めの言葉を頂戴致しました。ホームページの稿の刷新だけでも三、四箇月は掛かります。暫くのあいだ、モルト・ウィスキーに専念しようと思っています。

 山口小夜子さんには驚かされました。久しぶりに品のある女性とお会いできました。出逢いの絶景をお与え下さったことに感謝致します。山口小夜子さんを被写体に撮られた写真の数々、肉体がオブジェとして屹立している点、闇の階調と称するしかない貴方の写真に対する絶望的なまでのデスタンス、如月さんがご指摘なさるように人が肉体を喪失し関節人形と化して行く摩訶不思議な光景に感じ入りました。
 山口小夜子さんの写真に限らず、黒一色のなかでのぶつ撮りを試された資生堂のお仕事。光と影という呪うべき二項対立を拒み続ける貴方の姿勢を最大限の興味を持って眺めております。上梓がかなうなら、いかなる雑事も負いましょう。未発表のまま捨て置くには余りに惜しい作品です。年明けには一本に纏めましょう。



投稿者: 一考    日時: 2002年09月30日 04:02 | 固定ページリンク





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