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一考 | さらし奈乃里

 友より板橋の蕎麦屋を紹介されました。屋号は「さらし奈乃里」、住所は板橋区前野町6-47-10、電話番号は3969-8775です。営業時間は11時30分から14時30分と17時から20時に分割されています。ただし、水曜日は昼の部のみの営業にて、木曜日が定休日になっています。
 場所は川越街道と首都高速五号線下の見次公園を結ぶ前野中央通りの中程、川越街道から入れば前野小学校手前の路地を斜めに左折、すぐ二方向に道が分かれますので左へ進行、20メートルほど直進しますと一方通行になりますので、そこを右折、後は道に沿って左折を二度繰り返しますと店の前に出ます。裏手に駐車場が三台分設けられています。徒歩なれば、前述の一方通行を突っ切って右へ曲がった所になります。
 北海道産の蕎麦粉を石臼挽き、御前更科700円、変わり蕎麦800円、もり600円、ざる700円が主たる献立。酒は群馬、山形、福島の地酒三種と菊正宗の樽酒、加えるに茨城の地ビールを置いていますが、こちらはお薦めにあらず。
 友によれば変わり蕎麦の山椒切りと柚子切りは名品とか、あいにく私が行った折は胡麻切りにて、香りはともかく粘りのないパサついた食感、デリケートにすぎる舌触りはいまいちでした。御前更科ではなく、通常のもり蕎麦の変わり種の方が望ましいのにと思いましたが、そちらは件の名品を食するまでは判断を留保しておきましょう。
 しかし、御前更科ともりの二種は絶品。更科蕎麦は山形、秋田、青森の板蕎麦、すなわち長野で言う田舎蕎麦の対極に位置します。蕎麦の実の芯のみを用いる純白の蕎麦であり、さらさらした舌触りの良さと透明感に充ちた際やかな味わいには結構なものがあります。田舎蕎麦と比して腰の弱さは否めませんが、爽やかさを賞味するには打ってつけの蕎麦種、真澄のあらばしりとの組み合わせなら、さぞや杯がすすむのにと思いました。
 蕎麦固有の噛み応えを求められる方にはもりがお薦め。先週、福島の川内へ蕎麦を食べに行ったばかりですので、「さらし奈乃里」の細切り蕎麦には随分と繊細かつ上品な香味を感じました。昨今の冷凍饂飩や一部の讃岐饂飩にはタピオカが練り込められています。腰を強くするのが目的ですが、さような添加物によって不必要に堅くされた麺など御免被りたく、自然な歯応えこそが「嚼」の字に相応しいものと心得ます。いずれにせよ、かくまで端正な蕎麦を食させる店が板橋にあろうとは驚きでした。能書きが多い東京の蕎麦屋のなかにあって頑固親父ではなく清々しい若夫婦がいとなむお店、御内儀の笑顔に好印象を抱くのはきっと私だけではありますまい。出色の蕎麦屋と信じ敢えて御紹介致したく、蕎麦好きの贔屓偏頗とお聞き流し下されば幸いです。



投稿者: 一考    日時: 2002年09月26日 00:54 | 固定ページリンク





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