☆は店主お薦め、※はオフィシャル・ボトルもしくは蒸留所元詰の意で用いました。
【アベラワー10年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
フランスで根強い人気を持つ軽快なモルト。加水すると柑橘系のフルーティーな香りが立ち昇る。ラム・レーズンやバニラの淡い香りとスムースな口当たり、琥珀のような透明感のある甘口。ビギナー向け。
☆【アベラワー '90(ドナート)】
ダン・イーディアンの一本。10年もの、46度。550本のリミテッド・エディション。
ドナート社はイタリアのジェノヴァに在する酒商。ダン・イーディアンとのコレクションを頒す。ちなみに、ダン・イーディアンとはスコットランドの古都エディンバラのケルト語読み。
【アベラワー '90 カスク・ストレングス(ブラッカダー)】
ロウ・カスクの一本。シェリー・ホグスヘッド、61度。限定283本のシングル・カスク。
☆【アベラワー・アブナック カスク・ストレングス】※
オーク樽熟成のシングル・モルト、59.6度。
アブナックとは起源、原点の意にして、創始者ジェームズ・フレミングに捧げられている。他に12年ものシルバー・ラベルあり。
フル・フレーヴァーにして、赤林檎、シェリー酒、ブラック・チョコレートのアロマ。メローなフィニッシュ、僅かにスパイシーなアフター・テイスト。
オフィシャルの種類は多く、他にもケイデンヘッド社、クライズデール社、シグナトリー社、ザ・ボトラーズ社等からボトルが頒されている。
☆【アベラワー15年】※
40度のオフィシャル・ボトル。
蒸留所はヴィクトリア朝の美しい建物。モルトもまた、その佇まいに似て、華麗なシェリー・ウッド ・フィニッシュ。酒質は軽いが甘口のため食後酒に。
ソフトな口当たりとクッキーの甘さ、我が邦でいえばティー・キャンディの「純露」。とめどなく拡がる芳醇なバニラ香とまろやかな喉ごしはニート(水を加えない)がお奨め。くつろぎの一本。
【アルタナベーン '89(グレン・アラン)】
10年もの、43度。
同時頒布にグレンバーギ11年があり、シーバスとバランタインの原種モルトを並べて味わうことが可能になった。
【アルタナベーン '89(ジョン・ミルロイ)】
ミレニアム・セレクションの10年もの、50度のプリファード・ストレングス。シングル・カスク。
ミディアム・スイート、軽くドライな味わい。
兄弟蒸留所のブレイズ・オブ・グレンリヴェット同様、シーバスの原酒モルトの確保のため、1970年代に相次いでオープン。シングル・モルトとして頒されることはなく、ごく僅かな量が瓶詰業者のボトルとして出回っている。
【アルタナベーン '80(シグナトリー)】
オーク樽による19年もの、43度、限定388本のシングル・カスク。
アルコール臭と蜂蜜の香りが錯綜。口に含むと幾分苦みが感じられる。フィニッシュは浅く、ややスモーキー。他に同じシグナトリー社やケイデンヘッド社からカスク・ストレングスが頒されている。
【インチガワー14年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本にして、43度のオフィシャル・ボトル。
藷焼酎や柿渋を想わせる独特の癖を持つ食後酒。甘さから塩辛さまで、味わいの幅は広いが、ベクトルに問題を有す。ベルの原酒モルト。
スパイシーなビター・チョコ、もしくは仄かに珈琲の香り。フィニッシュはドライに纏まっているが、きれの良さに欠ける。
【インチガワー '77 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。シェリー・カスクの20年もの、56.5度。
U.D社の14年ものと比して、チョコレートとバターを綯い交ぜたようなオイリーな味わいが顕著、芯は太いが後口に雑味が残る。
キャンベルタウンに本拠を構えるケイデンヘッド社は、G.M社と並ぶインデペンデント・ボトラーの雄。ユニークなシングル・カスクやシングル・モルトを数多く頒す。シグナトリー社から同じヴィンテージの19年ものが、また本品同様のシェリー・カスクがマキロップ社からも頒されている。
【インペリアル '89(マクギボン)】
プロヴァナンスの一本。11年もの、43度。
【インペリアル '79(G.M)】
15年もの、40度。
きれのよい辛口だが、アルコール臭と些か単調な味わい。カードゥと共にスペイサイドの入門編として適す。
ダルユーインの第二蒸留所として建てられたが、1897年の創業以来、操業と休眠の繰り返しで、休業期間の方が長かったといわれる。すべてがブレンド用で、オフィシャルは無く、ゴードン&マクファイル社のボトル数種が出回るのみ。他にブラッカダー社から「レジェンダリ」の名でボトルが頒されている。
2000年末、G.M社よりマクファイル・プライベート・コレクションとしてコニャック、クラレット、カルヴァドスの3種の樽を用いた9年ものカスク・ストレングスが頒された。カリラのコレクションも同時発売されたが、樽の個性を味わうにはインペリアルの方が相応しい。
☆【シングルトン10年】※
蒸留所名はオスロスク。シェリーとバーボンの古樽を熟成に用いるダブル・マリッジ方式を採用。J&Bのキーモルト。43度。
フル・ボディでまろやか、豊饒な香りを持つ正統派ウィスキー。トフィー、カラメル、シェリー酒等の潤沢なこくと味わい。長いフィニッシュ、溢れんばかりの心地よい刺激。
他にパティキュラと題したブルー・ラベ ル12年があり、ヴィンテージものは76、77、80、81、83年の各種が頒されている。特に77年は美味として珍重される。
☆【グレンヒース(S.M.S)】
10年もの、40度。中味はオスロスク。
かつて、グレン・マレイを核とした同名のピュア・モルト・ウィスキーが頒されていたが、本品は全く異なる。オスロスク蒸留所のシングル・モルト3樽をボトリング。1000本のリミテッド・エディション。
オフィシャルのシングルトンと比してまろやかさで優る。色は淡く、カラメル香もなく、シェリー酒のテイストが濃厚。現行のシングルトンは日を追ってシェリー香が薄らいでいる。本品はかつてのシングルトンの味わいに近い。
☆【オスロスク '89 (ケイデンヘッド)】
オリジナル・コレクションの一本。シェリー・ウッドの10年もの、46度。限定348本のシングル・カスク。
オフィシャル・ボトルのブランドはシングルトン。当ボトルは蒸留所名をそのまま用いている。蒸留所の創業は1974年と新しいが、既に数々の品評会で受賞し、国際的な名声を得ている。クラガンモアと共に、スペイサイドのよさをすべて備えた銘酒。ケイデンヘッド社のモルトはプレーン・オーク樽が大半を占める。従って、本品は珍しい。
☆【オスロスク '89 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。オーク・カスクの8年もの、61.4度。
数多いケイデンヘッド社のボトルの中でも特筆もの。他にマーレイ・マクデヴィッド社とクライズデール社からオスロスク名でボトルが頒されている。M.M社のボトルは77年蒸留のの19年もの、46度のシングル・カスク。
☆【オスロスク '89 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。シェリー・カスクの10年もの、60.8度のカスク・ストレングス。限定348本のシングル・カスク。
【オルトモーア '89(ジョン・ミルロイ)】
ミレニアム・セレクションの10年もの、50度のプリファード・ストレングス。シングル・カスク。
オフィシャルと比して特異な香りは同じだが、そこはかとなく漂う甘味が爽やかな飲み口を誘う。まずまずの出来映え。
他にU.D社のレア・モルト・セレクションとマキロップ社からカスク・ストレングスが、またインバレアリティーの名でインデペンデント・ボトルが頒されている。
【オルトモーア12年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
キース地区を代表する食前酒とされるが、モルトの淡黄色からは想像もつかぬ癖の強さを持っている。デュワーズとロバート・ハーベイの原酒モルト。
徐光液を想わせる特異な香り。ココナツや胡桃を擂り潰したオイリーな味わい。フィニッシュは濃厚で、僅かに苦みを伴う。
U.D社がジョン&ハーベイ社から蒸留所を買収、本品の頒されたのが91年。96年にはレア・モルト・セレクションが、97〜98年には花と動物シリーズのカスク・ストレングスが限定頒布。同98年にオルトモーアはバカルディ社の所有となったが、新たなオフィシャル・ボトルは未だ頒されていない。
【カードゥ12年】※
ジョニー・ウォーカーのメイン原酒にして、40度のオフィシャル・ボトル。
ライトタイプで甘い口当たりだが、フィニッシュは結構スパイシー。ローランドのグレンキンチーと共に、入門編として最適。他にU.D社のレア・モルト・セレクションとシェリー樽を用いたカスク・ストレングスがシグナトリー社から頒されている。
☆【クラガンモア12年】※
U.D社のクラシック・モルト・シリーズの一本、40度のオフィシャル・ボトル。
飲み口の柔らかさと豊潤なこくと香り、そのバランスのよさと華やかなフレーバーはモーツァルトのシンフォニーに例えられる。評論家マイケル・ジャクソンの採点ではマッカランに次ぐ高得点。名実共に、スペイサイドを代表する銘酒。オールド・パーとアンティクァリーのメイン原酒。
☆【クラガンモア '89(ケイデンヘッド)】
バーボン・バットの10年もの、46度、限定342本のシングル・カスク。
ケイデンヘッド社はスプリングバンクと同資本のボトラー。同社のコレクションはすべてスプリングバンク蒸留所にて熟成、ボトリングされる。豊富な在庫を持ち、常時50〜60銘柄を自社ラベルにて頒布。他のボトラーにも供給している。
☆【クラガンモア・ポート '84】※
U.D社のザ・ディスティラーズ・エディションの一本。40度。
オーバン、ラガヴーリン、タリスカー、グレンキンチー、ダルウィニーの6種があり、各々異なる仕上げになっている。本品はフィニッシュにポート・カスクを用う。樽由来のソフトなバニラ香とナッツ香、軽く焦がしたようなスモーキーなキャラクター、柔らかいタンニン等が特徴。
ポート・ウッドでは、他にグレンモーレンジ、バルヴィニー、テナニャック、ボウモア等がある。
☆【クラガンモア '78 カスク・ストレングス(G.M)】
17年もの、61.3度のシングル・カスク。
蜂蜜と柑橘系のスイートな香り、香草を食むような膨(ふく)よかな味わい。水際立った切れ上がりのよさ、嫋々(じょうじょう)たる余韻。
☆【クレディタブル '75(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。25年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定300本のシングル・カスク。中味はクラガンモア。
☆【クレイゲラヒ '84(ハート・ブラザーズ)】 1900円
ファイネスト・コレクションの一本。15年もの、43度。
創設は1888年。株主のひとりピーター・ マッケー
が1890年にブレンデッド・ウィスキーのホワイト・ホースを発売。爾来ホワイト・ホースのメイン原酒となる。1927年、ホワイト・ホース・ディスティラーズ社はD.C.L社と合併、蒸留所も去就を共にした。86年からはU.D社の傘下に入った。ガラス張りのモダンなスティル・ハウスを持つ。U.D社の「花と動物シリーズ」がボトリングされる前は口の広いスクリュー・キャップのボトルがゴードン&マクファイル社から頒布されていた。
☆【クレイゲラヒ '81(シグナトリー)】 1900円
オーク樽による16年もの、43度、限定410本のシングル・カスク。
ホワイト・ホースの原酒モルトで、シングル・モルトとして出回るのは1%でしかない。他にG.M社、ケイデンヘッド社、ジェームズ・マッカーサー社の12年もの等が出回っているが、シグナトリー社とケイデンヘッド社のボトルはオフィシャルよりもビッグでパワフル。
☆【クレイゲラヒ '73 カスク・ストレングス(レア・モルト)】※
レア・モルト・セレクションの一本にして22年もの、60.2度。
オフィシャルは同じU.D社の花と動物シリーズだが、それと比して遙かにリッチ。アイリッシュ・クリームの香り、オレンジやナッツの風味、長く濃密なフィニッシュ。最良の食後酒のひとつ。
他にケイデンヘッド社、マキロップ社、スコティッシュ・インデペンデント・ディスティラーズ社のチーフティンズ・チョイスからカスク・ストレングスが頒されている。
☆【グレンアラヒ '89 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。バーボン・ホグスヘッドの9年もの、62.5度、限定324本のシングル・カスク。
☆【グレンアラヒ '91(シグナトリー)】
シェリー・バットの8年もの、43度、限定902本のシングル・カスク。
女性に人気のエレガントな食前酒であり、僚友アベラワーと通底する味わいを持つ。きれのよさは心地よく、極上のフィニッシュに飲み手を誘う。オーク・カスクにはない、アーモンドのようなナッツ系の香りが特徴。
☆【グレンアラヒ '85(シグナトリー)】
オーク樽による11年もの、43度。3樽、872本の限定品。
仏蘭西のペルノ・リカール社はスコットランドに蒸留所を所有している。アベラワー、エドラダワー、そしてグレンアラヒの三箇所である。
クッキーやキャンディの甘さ、まろやかな喉ごし、頗るデリケートな香り、軽くのびやかな酒質等々。仏蘭西ならでは、と想わせる所が愉快である。
【グレンアラヒ '69 カスク・ストレングス(G.M)】
オーク・カスクの18年もの、56.8度。1樽のみの限定品。
オフィシャルの12年ものが若干出回っていたが、シングルトンのパティキュラ同様、扱う輸入業者が居なくなってしまった。
【グレン・エドワーズ】※
1891年よりモルト・ウィスキーを醸しているロングマン・ディスティラーズ社のファースト・エディション。熟成期間が短く、アルコール臭や薬品の匂いが鼻に付くが、スペイサイドに相応しいシェリー風味を持つ。コスト・パフォーマンスが高く、ビギナー向け。
【グレン・エルギン】※
43度のオフィシャル・ボトル。
オフィシャル・ボトルは12年ものだったが、先頃、デザインを一新、熟成年の表示がなくなった。ホワイト・ホースの核をなす原酒モルト。
ソフトでスムース、やや軟弱な酒質。青草の香り、加水によりヘザー・ハニーの甘味。ビギナー向け。
オフィシャル以外ではG.M社、ケイデンヘッド社、ブラッカダー社、カレドニアン・コネクション社からボトルが頒されている。
☆【グレンキース10年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
ストラスアイラの第二蒸留所として1957年に誕生。総てがシーグラムの原酒に回されるため、オフィシャルなシングル・モルトは一度も頒布されたことがなかった。待望のボトルは94年から。
火にかけられた鼈甲飴の芳ばしさ、インデペンデント・ボトラーのそれと比してシェリー香が強く、より甘口に振られている。
【グレンキース '72(サマローリ)】
オーク樽による25年もの、45度のミディアム・ボディ。318本のリミテッド・エディション。
完熟林檎や西洋梨のアロマが強く、ドライかつシャープなきれを持った佳酒。サマローリにしては澱が少なく、上品な仕上がり。
他にゴードン&マクファイル社、シグナトリー社、ダグラス・レイン社、ジェームズ・マッカーサ−社からボトルが頒されている。
【グレン・グラント10年】※
40度のオフィシャル・ボトル。
グレンフィディックに次いで、シングル・モルト部門で世界第2位の売上げを誇る。ライト・ボディ、加水するとアルコール臭が鼻をつく。モルト風味のウィスキーとして、グレンフィディックと双璧をなす。
【グレン・グラント '76(ウィルソン&モーガン)】
バレル・セレクションの一本。21年もの、46度。
流石に、これ位になるとアルコール臭は消え、ザ・グレート・モルトに相応しいふくよかな甘味と熟成香が感じられる。正統派ウィスキーはコニャック同様、若飲みには適さない。
スコッチ・ウィスキーの最大消費国は亜米利加ではなく、欧州である。特に本品の5年ものは伊太利亜でシェア70%を占め、専用のラベルが用いられる。
珍しいところではハート・ブラザーズ社からラム酒の樽で熟成させたモルトが頒されている。
【グレン・スペイ '85 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。シェリー・バットの13年もの、60.9度、限定222本のシングル・カスク。
樽由来のシェリー香、軽くしなやかな酒質。欲をいえば、今ひとつ自己主張が足りない。ノッカンドオ、オスロスク(シングルトン)、ストラスミル等と共に、J&Bグループに属する蒸留所。かつてはオフィシャルの8年ものが頒されていたが、現在では入手不可能。
【グレンダラン '85(マクギボン)】
プロヴァナンスの一本。15年もの、43度。
☆【グレントファース '79(G.M)】※
17年ものにして、40度。同じヴィンテージの19年ものも頒されている。
プレミアム・スコッチのロイヤル・ハウスホールドの原酒モルト。オフィシャル・ボトルはなく、換わりにゴードン&マクファイル社のオリジナル・ラベルが出回っている。スペイサイドの隠れた美酒。
干し杏子、バナナチップス、ナッツの香り、栗の蜜煮を想わせるスイートなこくとパワフルな味わい。次第にドライに切れ上がっていく、極めて長いフィニッシュ。
1983年に閉鎖されたが、89年にアライド・ディスティラーズ社の手によって、操業が再開された。他にジェームズ・マッカーサ−社からもボトルが頒されている。
【グレンバーギ '88(グレン・アラン)】
11年もの、43度。
同時頒布にアルタナベーン10年があり、シーバスとバランタインの原種モルトを並べて味わうことが可能になった。G.M社の8年ものと比してアフター・テイストに若干の雑味あり。
【グレンバーギ8年(G.M)】
バランタイン、アンバサダー、オールド・スマグラーの主要原酒モルト故、シングル・モルトとしての出荷は限られ、本品が出回るまでは5年ものをたまに見掛ける程度だった。40度。
ラム・レーズンやバニラの膨よかな香り、芳しくも洗練された味わいは、さすがバランタインの原酒。
なお、2001年初頭にハート・ブラザース社から31〜33年もののボトルが頒布された。ストラスアイラ、ロングモーン、グレンバーギ、グレンリヴェット、グレン・グラントの5種である。中でもグレンバーギは68年蒸留、32年ものカスク・ストレングスだけあって、長くクリーミーなフィニッシュは秀逸。
☆【グレンバーギ '61(G.M)】
33年もの、40度。
独立瓶詰業者、特にゴードン&マクファイル社のボトルのみ入手可能。カスク・ストレングスも同様である。本品で特筆すべきはバランタイン30年よりも安価にして美味という点。
サマローリの独逸向け37年ものボトルがあったが、現在ではボトリングされていない。オーナーのアライド・ディスティラーズ社が6本のボトルをセット販売している。題してアライド・シックス。内訳はミルトンダフ、トーモア、インペリアル、グレンカダム、グレンファース、グレンバーギ。共に15年ものにして46度。美味なモルトが少なく、大いに疑問を抱かせる販売方式である。
【グレンクレイグ '81 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。バーボン・ホグスヘッドの19年もの、57.9度、限定270本のシングル・カスク。
【グレンクレイグ '75(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの24年ものにして、40度。
ミルトンダフ蒸留所がローモンド・スティルを導入してモストウィーを蒸留していたのと同様、グレンバーギ蒸留所は一時期、ローモンド・スティルによる別種のモルト、グレンクレイグを醸していた。よりヘビーにしてオイリーな味わいが特徴。
【グレンクレイグ '70(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの28年ものにして、40度。
上記グレンバーギと共にオフィシャルはほとんど販売されたことがなく、独立瓶詰業者のボトルのみ入手可能。
【グレンファークラス10年】※
40度のオフィシャル・ボトル。
マッカランと同じく、すべてのモルトはシェリー樽で熟成。10年から12年、15年、17年、21年、25年、30年さらに105プルーフと様々なボトルを出している。さらに、独逸や阿蘭陀等、欧州市場向けのファミリー・リザーヴとカスク・ストレングスがわが邦にも多種輸入されている。
熟成期間が永くなるほど、フルーティーな香りとフィニッシュの濃密さが増し、味わい深くなっていく。ブレンデッド・ウィスキーのチーフティンズ・チョイスの主要モルト。
☆【グレンファークラス12年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
数多ある銘酒の中でも伝統へのこだわりを追求した、スペイサイド入魂のフル・ボディ。ベンリネス山の雪解け水、極めて良質の軟水を仕込みに用いる。
微かなピート香ととろりとしたきめ細やかな舌触り。加水に耐える腰の強さ。甘味の残る醇々たるフィニッシュ。
☆【グレンファークラス105 カスク・ストレングス】※
スコットランドのみならず、最近では欧米や豪州でも人気が高まっている。ちなみに、サッチャー前首相も8年ものの本品の愛好家であるとか。
105とはアルコール度数が105プルーフ、つまり60度を意味している。オフィシャル・ボトルでこれほどスパイシーかつヘビーデューティなモルトは珍しい。
他にケイデンヘッド社から数種類のカスク・ストレングスが、ダグラス・レイン社からはアノニムスの名で65年蒸留の34年ものカスク・ストレングスが頒されている。
【ハイランド10年(シールダイグ)】
ウィリアム・マックスウェル社のリリースになるグレンファークラス。43度。
シールダイグとは西ハイランドにある風光明媚な漁村。アルマニャックのボトルを用い、ギフト用として仏蘭西国内で販売されている。マックスウェル社はイアン・マクロード社と同資本のカンパニー。熟成にシェリー樽を用いないため、ずんと辛口。オフィシャルとは全く異なる香味を持つ。
キングスバリー社から65年蒸留のカスク・ストレングスがバリンダロッホの名で頒されている。ダグラス・レイン社のローダブル(ラフロイグ)やタクティカル(タリスカー)同様、蒸留所の認知を得ない、謂わば脇腹の子だが、絶妙の香味を持つ。
☆【グレンファークラス21年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
蒸留所の弁によると、8年で完成の域に達し、15年が熟成のピーク、後は枯淡の領域に入っていくとの由。
シェリー・カスクの長期熟成品を安価に愉しめるのは、グレンファークラスのオフィシャル・ボトルのみ。一昔前のオフィシャルは角瓶だったが、アルコール度数、香味共に現在と同じ。
【グレンフィディック12年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
世界で飲まれているシングル・モルトの3本に1本はグレンフィディックと言われる。事ほど左様に人気があり、入手しやすい銘柄である。ボトルの形状がトライアングルをなすことを除けば、不偏不倚で過不及のないことを唯一の持ち分とする、 謂わば日本人向けのモルト風味のウィスキー。
☆【グレン・マレイ・シャルドネ】※
ノン・エイジ、40度のオフィシャル・ボトル。
フレッシュで軽く、ソフトで飲みやすいモルト。言い換えれば、個性に貧しく、パンチに欠ける。その個性を補うにワイン樽を使用。本品はブルゴーニュの白ワイン主要品種シャルドネのリフィル・カスクを用う。
ちなみに、同社のノン・エイジは7〜8年熟成のモルト。
☆【グレン・マレイ・シュナンブラン12年】※
40度のオフィシャル・ボトル。
上記と同一にして、シュナンブラン種のワイン樽を熟成に用う。モルトの癖のなさが、逆に樽由来の香味を際立たせている。グレンモーレンジ同様、成功例も多く、さまざまな樽へのチャレンジ精神は立派。他に16年ものもある。
☆【グレン・マレイ '89 カスク・ストレングス(シグナトリー)】
シェリー・バットの9年もの、59.5度、限定640本のシングル・カスク。
ハイランド・クィーンやジェイムス・マーチンの原酒モルトにして、グレンモーレンジとは兄弟蒸留所にあたる。通常のモルトの他に、ノン・エイジのヴァッティング・モルトもある。
当蒸留所のモルトはアデルフィ社、ケイデンヘッド社、ブラッカダー社など、独立瓶詰業者のものに佳酒多し。
【グレンリヴェット12年】※
40度のオフィシャル・ボトル。
グレンフィディックと共にもっとも入手しやすい銘柄。どちらも人気筋なだけに、さしたる特徴もなく、謂わばカジュアルなウィスキーとしての市民権を得ている。わが邦のウィスキーにも似た淡く甘いフローラルな香り。抑制の効いたニュートラルな味わいはビギナー向け。
【グレンリヴェット '75 カスク・ストレングス(マキロップ)】
マキロップ・チョイスの1本。25年もの、55.9度のシングル・カスク。
マキロップ社はグラスゴーのインデペンデント・ボトラーにして、マスター・オブ・ワインの称号を持つ。グレン・グラント同様、流石に熟成が20年を越えると美味になる。正統派ウィスキーの王者の貫禄。
伊太利亜のインデペンデント・ボトラー、ヴェリエ社よりグレート・シェリー・バットと題する72年蒸留の26年ものが頒されている。昨今ボトリングされたものの 中では秀逸。
☆【グレンロセス8年(G.M)】
マクファイル・コレクションの一本、40度。
カティサーク、フェイマス・グラウスの原酒モルトのひとつ。
レーズンの香り、シェリー酒の風味。こくに奥行きがありオイリー、シルクのようにスムース。柔らかい甘味が残るフィニッシュ。
☆【グレンロセス '87(ベリー・ブラザーズ&ラッド)】※
ベリー・ブラザーズ&ラッド社の手になる11年もの、43度。
本品は蒸留所元詰めのグレンロセスの定番。実に多くのヴィンテージが頒されている。72年以降は現在なお入手可能。ちなみに、本品のボトル、ラベル、専用紙ケースは1994年の産業審査会で多くの賞を獲得している。
【グレンロセス '89(ウィルソン&モーガン)】
バレル・セレクションの一本。シェリー・ウッドの10年もの、46度。
【グレンロセス '85(ウィルソン&モーガン)】
バレル・セレクションの一本。10年もの、46度。
☆【グレンロセス '78(G.M)】
ゴードン&マクファイル社の100周年記念ボトルの一本。17年もの、40度。
ローゼス地区を代表する食後酒。ブレンダーの間で夙に高い評価を受ける。
蜂蜜ナッツや熟した果実、豊かなシェリー香。オフィシャルに相当するベリー・ブラザーズ&ラッド社のボトルと比してこくときれで増さり、より軽やかな旨味を出している。僅かにドライに変化するフィニッシュ。
☆【グレンロセス '81(ベリー・ブラザーズ&ラッド)】※
ベリー・ブラザーズ&ラッド社の手になる17年もの、43度。
倫敦のセント・ジェームズ街にあるベリーズ社(通称)は自社ブランドのカティー・サーク、ベリーズ・ベスト、ブルー・ハンガーで有名だが、伊達男ボー・ブランメル贔屓の食料雑貨商としても夙に識られる。
【グレンロセス・グレンリヴェット '61(G.M)】
35年もの、40度。
他にケイデンヘッド社、マスター・オブ・モルト社、シグナトリー社、マキロップ社、独逸の瓶詰業者キルシュ・インポート社やキャッスル・コレクション社等からもボトルが頒されている。ブルイマレイと題されたインデペンデント・ボトルもある。
【グレンロッシー '89(マクギボン)】
プロヴァナンスの一本。10年もの、43度。
プロヴァナンスとはグラスゴーのインデペンデント・ボトラー、ダグラス・マクギボン社のコレクションの総称。糖蜜と干し草の匂い。加水すると乾いた味わいに変化する。スパイシーなフィニッシュを愉しむにはニートがお薦め。
他にG.M社とマキロップ社からボトルが頒されている。
☆【グレンロッシー10年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
極めて入手困難なモルトであったが、近年、本品が出回るようになった。
清々(すがすが)しい白檀の香りが特徴。フレッシュでドライな喉ごし、麦芽とシェリー香のアクセントを得て、フィニッシュは徐々にスパイシーに。
リンクウッドやロイヤル・ロッホナガーと共にソフィスティケーテッドなウィスキーとして識られる。
☆【グレンロッシー '81 シェリー・カスク(シグナトリー)】
甘口シェリー樽の17年もの、43度、限定595本のシングル・カスク。
とりわけ81年は珍重される。ヘイグとディンプルの重要な原酒モルトで、ブレンダーの間でも高い評価を受ける。
ミント香とクリーミーなピート香。U.D社のものと比して円熟度高く、よりスイートな味わい。重厚な香りと切れ上がりの暖かさが絶妙。
同じ81年蒸留の17年ものカスク・ストレングスがアデルフィ社から頒されている。熟成はダーク・シェリーの樽、アルコール度数は59度。どこかで見つけたら、是非トライして頂きたい。
【グレンロッシー '78(V.M)】 2100円
クーパーズ・チョイスの一本。オーク・カスクの22年もの、43度。
【グレンロッシー '79(インタートレード)】 2600円
オーク・カスクの18年もの、43度のフル・ボディ。
オフィシャルと比して、より長くクリーミーなフィニッシュ。
インタートレード社は伊太利亜リミニ市のボトラー。オーナーのナディ・フィオリは当地に於ける業界の草分け。久しぶりのボトリングである。同社のウィスキーはサマローリ社同様、檻が多く含まれるのが特徴。オフィシャル・ボトルでは味わえない個々の樽の稟質、即ち微妙な持ち味を愉しめる。
☆【グレンロッシー '80 カスク・ストレングス(ブラッカダー)】
オーク・カスクの16年もの、64.5度、160本のリミテッド・エディション。
同じヴィンテージの16年もの、43度のボトルも頒されている。
蒸留所はエルギンの南、トムズヒルに在るが、敷地内に2つの蒸留所が建っている。いまひとつは1971年に設立されたマノックモアである。共に美味なモルト。
【コールバーン '80(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。20年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定648本のリミテッド・エディション。
【コールバーン '70(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。29年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定213本のシングル・カスク。
他に71年蒸留の28年ものも頒されている。
飲み口は軽く、フレッシュだが、輪ゴムを噛みしだくような頗る個性的な味わい。85年に閉鎖され、92年にライセンスを返上。今後再会される予定なし。
他ではG.M社のコニッサーズ・チョイスとU.D社のレア・モルト・セレクションが出回るのみだったが、シグナトリー社からサイレント・スティル・シリーズの一本 として、16年ものカスク・ストレングスが頒された。
【コンヴァルモア '77 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。オーク・カスクの20年もの、65.2度。
ブラック&ホワイトの原酒モルトだが、1985年に生産停止。以後、蒸留所は閉鎖されたまま、飲むなら今のうち。オフィシャル・ボトルはなく、他ではG.M社のコニッサーズ・チョイスとマキロップ社のカスク・ストレングスが出回るのみ。
初手からフィニッシュに至るまで、甘味の中に粗塩のような薬品臭がつきまとう。けだし、これも立派な個性。
☆【ストラスアイラ12年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
オフィシャル・ボトルは本品のみ。シーバス・リーガル並びにロイヤル・サルート の核をなす原酒モルト。完熟林檎の香りを持つ卓越した食後酒。
ヘーゼルナッツの香り。滑らかでオイリー、佳麗なこく。シェリー酒を想わせるきらびやかな風味。長くスムース、揺蕩(たゆた)うようなフィニッシュ。
【ストラスアイラ '89(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。10年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定363本のシングル・カスク。
キング・オブ・スコッツで識られるダグラス・レイン社が豊富な在庫からボトリングした新たなコレクション。大半がシングル・カスクだが、例外もある。ちなみに、本品にはチル・フィルターが施されている。
【ストラスアイラ '89 カスク・ストレングス(クライズデール)】
8年もの、63.3度、限定290本のシングル・カスク。
単一の樽から何ら手を加えずに瓶詰め。モルト本来のボディとフレーバーを最大限引き出したクライズデール社のボトル。
ストラスアイラの創業は1786年、スペイサイドでは最も古い蒸留所。
☆【ストラスアイラ '82(G.M)】
14年もの、40度。
ブレイズ・オブ・グレンリヴェットやハイランド・パークにも似た、妙なるシェリー香とスムースなフィニッシュ。ちなみに、G.M社とストラスアイラ蒸留所は昔から懇意な間柄にあり、ヴィンテージの異なる様々なボトルが頒されている。
☆【ストラスアイラ25年(G.M)】
40度。
ゴードン&マクファイル社はコニッサーズチョイス・シリーズやマクファイルズ・コレクションで識られるエルギンの独立瓶詰業者。
他ではハート・ブラザース社の67年、シグナトリー社の89年、同ミレニアム・ボトルの68年のヴィンテージが美味。
☆【ストラスアイラ '72 カスク・ストレングス(G.M)】
22年もの、61.8度、4樽のリミテッド・エディション。
コルク栓を抜く、グラスに注ぐ、静かに回す、口に含む、口腔に拡がる、喉元を過ぎゆく、そしてラスト・ノート。スペイサイドのすべてのモルトの中で、香りの階調をきわやかに愉しむにはストラスアイラが最適。
【ストラスアイラ8年(G.M)】
40度の旧ボトルにして、80年代のボトリング。本品と70年代瓶詰の15年ものは屡々出回っている。
不本意ながら、かかるボトルに手を出しました。店主はレアもの、お宝ものには些かの興味もなし。酒は飲むべし、バイクのエンジンは回すべし。所詮、酒の帰するところとは肝臓と腎臓である。
☆【ストラスミル '91(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの9年もの、40度。
インデペンデント・ボトラーズのボトルとしては最も新しい。最近のゴードン&マクファイル社はコスト・パフォーマンスにすぐれたものが多い。
☆【ストラスミル '88(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。11年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定420本のリミテッド・エディション。
☆【ストラスミル10年(ウィルソン&モーガン)】
バレル・セレクションの一本、46度。
1985年蒸留、ボトリングは1996年。キース地区特有の熟した果実の香りと長く続くスパイシーなフィニッシュが特徴。
☆【ストラスミル '85(シグナトリー)】
オーク樽による12年もの、43度、限定503本のシングル・カスク。
J&Bの原酒モルト。かつては入手困難な稀酒だったが、93年より11年もののカスク・ストレングスがケイデンヘッド社より頒され、今ではマキロップ社のカスク・ストレングスとウィルソン&モーガン社の10年もの、そして本品等が入手可能。
樽違いの11年ものもある。
【スペイバーン '90(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。10年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定434本のリミテッド・エディション。
【ダフタウン '90(マクギボン)】
プロヴァナンスの一本。10年もの、43度。
【ダフタウン15年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
軽くドライで食前酒向きだが、ベクトルが定めなく稀薄、総体として纏まりに欠ける。おなじ飲むなら、兄弟蒸留所のピティヴェアックのほうが美味。ベルの原酒モルト。
蜂蜜、バター・キャラメル、クッキーのような柔らかく甘い香り。ただし口に含めば、さらさらと流れるが如き辛口。こくのなさが淋しく、些か物足りない思いに。フィニッシュは軽く短く、舌先に苦みが残る。
ユナイテッド・ディスティラーズ社からはカスク・ストレングスが、マッキンタイア社とマーレイ・マクデヴィッド社からはシェリー・カスクが頒されている。他にシグナトリー社、ブラッカダー社、ジェームズ・マッカーサー社のボトルがあるが、共に佳品。頗るリッチにして豊かなボディ。
【タムドゥー 8年(G.M)】
マクファイルズ・コレクションの一本。40度。
際立った個性はないが、飽きのこない飲みやすい食後酒として仏蘭西、伊太利亜、西班牙でよく飲まれている。フェイマス・グラウス、カティサークの中核をなすモルト。
他にG.M社とシグナトリー社からカスク・ストレングスが、またケイデンヘッド社からもボトルが頒されている。オフィシャル・ボトルの10年ものは90年までは43度、以降は40度でボトリングされている。旧ボトルは現在なお入手可能。
【オーキンドゥー '82 カスク・ストレングス(クレゴーン)】
13年もの、55.2度、限定232本のシングル・カスク。
中味はタムドゥー。色濃いタムドゥーの中で珍しいプレーン・タイプ。謂わば素顔のタムドゥー。ボトラーのクレゴーンは元ワイン商、白ラベルの時代を想わせる角瓶を用い、カスク・ストレングスを専門とする。概してコンディションはよいが、酒名から蒸留所を判断するのは困難。味見するしか手立てはない。
【タムナヴーリン・グレンリヴェット10年】※
40度のオフィシャル・ボトル。
タムナヴーリン・グレンリヴェットが蒸留所の正式名称。グレンリヴェットを名乗るのは、かつてのスペイサイドの流行で、ジョージ・スミスが創したグレンリヴェットにあやかりしもの。元祖が定冠詞「ザ」を用いて、他を区別するようになったのは有名な話。近代的な蒸留所として識られたが、1995年より休止。再開の可能性は少ない。
他にG.M社とブラッカダー社から数種のボトルが頒されている。
【タムナヴーリン12年】※
オーク・カスク、40度のオフィシャル・ボトル。
クリーンでライト、新しい落葉を食(は)むような苦甘いテイスト。
蒸留所名のヴーリンはアイラ島のラガヴーリンのヴーリンと同じく、水車の意。ただし、色、香り、味、フィニッシュ共に両者の間には些かの拘わりもない。なお、本品とハイランドのタリバーディンのヴァテッド・モルトがアーガイル。アーガイルQE2はクイーン・エリザベス2世号の専用ウィスキー。
【ダラス・ドゥー '79(G.M)】
19年もの、40度。
蒸留所は1983年に閉鎖され、1992年にライセンスは取り消された。過去のストックが少量、瓶詰業者から頒布されているのみ。ヴィンテージ・モルト社のクーパーズ・チョイスやシグナトリー社のボトルがなくなり、現在入手可能なのはU.D社の レア・モルト・セレクションとマキロップ社、ダグラス・レイン社のカスク・ストレングス。
潤いを含んだ樽、雨降りの製材所の臭い。雨に打たれた整髪料を想わせる超個性的な味わい。
☆【ダルユーイン16年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
タリスカー同様、ジョニー・ウォーカーの核となる原酒モルト。
マルティニック・ラムの香りを持つフル・ボディ。ホットな辛口でアフター・テイストに特徴あり。フィニッシュが長く、スモーキーからビターへと次第に変化していく。
☆【ダルユーイン '71(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの一本。40度。
☆【ダルユーイン '80(サマローリ)】
サマローリ社は伊太利亜ブレシアの酒商。本品は18年もの、45度。390本のリミテッド・エディション。
サマローリ社のハイランド・パークやテナニャック同様、檻の多いボトル。コンディションのよさと相まって、頗る美味。他にG.M社、ケイデンヘッド社、マキロップ社、ジェームズ・マッカーサー社のボトルがある。
【トーモア10年】※
オーク・カスク、43度のオフィシャル・ボトル。
ラベルの水彩画に象徴される淡いタッチが売りの新規蒸留所。「癖のないソフトなイメージのウィスキー」もしくは「飲みやすく親しみの持てる現代風モルト」が蒸留所の売り。トミントゥールやアラン同様、若者向けのモルト・ウィスキー。
涼やかなライト・ボディで、ロング・ジョンの原酒モルト。本品は91年の瓶詰。
他にダグラス・レイン社から数種のボトルが頒されている。
【トミントゥール・スペイサイド10年】※
40度のオフィシャル・ボトル。
蒸留所の設立は1964年、出荷は1972年より。他に同14年ものとトミントゥール・グレンリヴェット12年等があり、共にホワイト&マッカイの原酒モルト。
リキュール系の甘さを持ち、ソフトでライトな飲み口。ビギナー向け。
オフィシャル以外ではダグラス・レイン社から数種のボトルが頒されている。
【ノッカンドオ '87】※
12年もの、43度のオフィシャル・ボトル。
カードゥが優しくフェミニンなモルトとするなら、ノッカンドオは能動的。オスロスクと共にJ&Bのメイン原酒で、スペイサイドでは個性の強い佳酒。
バーボン樽で寝かせたモルト特有の焦げたような芳ばしさ、アンバー・ラムのような醇乎(じゅんこ)な味わい。長くのびやかなフィニッシュ。
【ノッカンドオ '80】※
15年もの、43度のオフィシャル・ボトル。
12年、15年、21年もの以外にもエキストラ'70、スロー・マチュアード'80等、さまざまなオフィシャル・ボトルが入手可能。
【バルヴィニー10年 ファウンダーズ・リザーヴ】※
43度のオフィシャル・ボトル。
麦はすべて自家栽培、現在なお、フロア・モルティングを行う数少ない蒸留所のひとつ。5世代にわたる家族経営にて、モルト担当が4人、マッシュ担当が3人、タンルーム3人、スティルマンが3人の計13人ですべてのモルト・ウィスキーを醸す。
☆【バルヴィニー12年 ダブル・ウッド】※
43度のオフィシャル・ボトル。
スペイサイドのみならず、スコットランドのすべてのモルトを代表する酒のひとつ。新樽とフィノ・シェリー樽で熟成、最後の年にヴァッテッド、仕上げにはオロロソ・シェリーの樽を用いる。グランツの主要モルト。
オレンジ・リキュール、ハニーのさんざめく甘味と潤いのある香味。
竹の根がけぶれるような趣の中に、長く深いフィニッシュ。
☆【バルヴィニー15年 シングル・バレル】※
80年蒸留、50.4度のオフィシャル・ボトル。
グレンフィディックとは兄弟蒸留所だが、フィディックが二級酒とするならば、バルヴィニーは大吟醸。加水にもバランスを崩さない腰の強さが身上。
シナモン、ジンジャー、オレンジピール等、稠密な芳香と甘味、香りの迷宮に立ち至った感あり。タンニンが支える味わい。ずしりとくる重厚なフィニッシュ。
他に、シグナトリー社から頒された74年蒸留の15年ものカスク・ストレングスも美味。
☆【バルヴィニー21年 ポート・ウッド】※
ポート・ウッド、43度のオフィシャル・ボトル。
オフィシャル・ボトルには、ファウンダーズ・リザーヴ10年、ダブルウッド12年、シングルバレル15年、ポート・ウッド21年、他に数種のヴィンテージものシングル・カスクがあるが、すべて製法が異なる。職人の妙技と芸の細やかさに脱帽。かかるこだわりこそが、愛飲家の耳目を峙たせる。
なお、クラシック12年は近頃ではレアもの扱いになった。
ポート・ウッドでは本品の30年ものの他に、ボウモア、クラガンモア、グレンモーレンジ、テナニャック等がある。
☆【バルヴィニー25年 シングル・バレル】※
74年蒸留の46.9度。樽違い、すなわちアルコール度数の異なるものが数種頒されている。
ヴィンテージものシングル・カスクの中で、本品は最も新しいボトル。
☆【バルミニック12年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
ヘザーハニーの香り、甘辛のバランスが佳く、ジンジャーを想わせるスパイシーなフィニッシュが長く続く。グレントファースと共に、スペイサイドの隠れた銘酒。入手可能な間に是非味わうべき逸品。
同じU.D社のレア・モルト・セレクションから28年ものが頒されている。
☆【バルミニック '78(V.M)】
ヴィンテージ・モルト社のクーパーズ・チョイスの一本。オーク・カスクの20年もの、43度。
オフィシャルはユナイテッド・ディスティラーズ社の花と動物シリーズにて1991年の発売。他にゴードン&マクファイル社のコニッサーズ・チョイス、ブラッカダー社とマキロップ社からはカスク・ストレングスが頒されている。なかでもコニッサーズ・チョイスはお薦めの一本。
蒸留所は1993年5月に一時閉鎖されたが、97年にU.D社からインバー・ハウス社へ売却。新たなボトルは未だ頒されていない。
☆【ピティヴェアック12年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
ダフタウン蒸留所に隣接す。仕込用水からポット・スティル、熟成庫までを共にする、謂わば弟でありながら、兄とは異なり個性的。蒸留所は93年に閉鎖。
自己主張が強く、ダルユーインのようなホットなアフター・テイストを持つ。ピリピリ感を伴うフィニッシュが比較的長く続く。同じ飲むなら、ダフタウンよりこちらがお薦め。
他にダグラス・レイン社とマキロップ社から複数のカスク・ストレングスが頒されている。
☆【ブレイズ・オブ・グレンリヴェット '89 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。バーボン・ホグスヘッドの10年もの、62.2度、限定288本のシングル・カスク。
アルタナベーンとは兄弟蒸留所だが、こちらは重厚な味わい。メイプルシロップや干し葡萄の甘い香り、蜂蜜のような深くまろやかなこくとオレンジ・ピールの風味。フィニッシュは長くドライ。創業は73年と新しいが、ストラスアイラと共に傑出したモルト。ストラスアイラが甘すぎるという方に強くお薦め。
☆【ブレイズ・オブ・グレンリヴェット '87 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。オーク・カスクの11年もの、61.3度、限定306本のシングル・カスク。
ソフトな中甘口、噛み応えのあるボディ。
☆【ブレイズ・オブ・グレンリヴェット '77 カスク・ストレングス(キングスバリーー)】
オーク・ホグスヘッドの19年もの、48.9度、シングル・カスク。
シーバス・リーガルの原酒モルトのためオフィシャルはなく、独立瓶詰業者を介してやっと入手可能になった。他ではシグナトリー社、ウィルソン&モーガン社、ダグラス・レイン社からカスク・ストレングスが頒されている。
☆【ブレイズ・オブ・グレンリヴェット '77(ハート・ブラザーズ)】
21年もの、43度。ファイネスト・コレクションの一本にして、珍しいマディラ・ウッド。同様の23年ものカスク・ストレングスがスコッチ・モルト・セールス社から頒されている。
フレッシュ・ミントとオレンジの花の香り。樽由来の心地よい甘味の中に秘められた爽やかな酸味。
マディラ・フィニッシュでは、他にグレン・モーレンジがある。
【ベンリアック10年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
エルギン地区の銘酒ロングモーンとは兄弟蒸留所。クイーン・アン、サムシング・スペシャルの原酒。オフィシャルのシングル・モルトは94年の発売。
カラントや柑橘系の豊稠な香り。トフィーやバタースコッチの甘味。フィニッシュはドライ、次第にスモーキーに。
他に81年蒸留のG.M社のボトルが入手可能にして、美味。
☆【ベンリネス '88(G.M)】
ゴードン&マクファイル社のコニッサーズ・チョイスの一本。9年もの、40度。
糖蜜やカラメルのヘビーな香り、厚みのある優れた食後酒。クロフォードの原酒モルトだが、ブレンドされた製品とは異なり、頗る辛口に仕上がっている。
☆【ベンリネス '81(V.M)】
クーパーズ・チョイスの一本。オーク・カスクの18年もの、43度。
ヴィンテージ・モルト社はグラスゴーの独立瓶詰業者。クーパーズ・チョイスの名で頒されているが、「樽職人のお気に入り」の意。樽造りの様子を紹介する写真がラベルに用いられているのもユニーク。
☆【ベンリネス '78(G.M)】
ゴードン&マクファイル社の100周年記念ボトルの一本。40度。
他にジェームズ・マッカーサー社、ウィルソン&モーガン社、マキロップ社、ザ・ボトラーズ社、シグナトリー社、ブラッカダー社からもボトルが頒されている。
☆【ベンリネス15年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
ウォッシュ(もろみ)の一部を3回蒸留するのが、ベンリネスの特徴。大半は2回蒸留だが、それに3回蒸留を施したものを加えることによって、よりライトタイプのモルトになるという。ドライだが、ボディが厚く、リッチなフィニッシュ。
同じU.D社のレア・モルト・セレクションからカスク・ストレングスが頒されている。
【ベンローマック・グレンリヴェット12年(G.M)】※
ゴードン&マクファイル社が92年にU.D社から買収したベンローマック蒸留所のオフィシャル・ボトルにして、40度。
83年に閉鎖されたが、98年に公式に操業再開。新たなポット・スチルによるボトルの発売は2008年の予定。
スムースでまろやかな飲み口。ニートで飲むと焼け焦げたバーボンの香り、加水するとスイートに変化。
他にオフィシャルでは15年ものとセンテナリー・リザーヴ17年があり、独立瓶詰業者のボトルではケイデンヘッド社とU.D社のレア・モルト・セレクションがある。
【マクファイル30年】
ゴードン&マクファイル社のオリジナル・ブランドにして、中味はマッカラン。
昔からG.M社はヴィンテージもののみマッカランと記載、それ以外のボトルはマクファイルと表記される。10年から40年ものまで各種ボトルがあり、すべて40度。
【マッカラン '95 カスク・ストレングス(マクギボン)】
5年もの、60.7度。
グラスゴーのダグラス・マクギボン社のセレクト。同社は1949年に組織されたインデペンデント・ボトラー。蒸留所の作業に携わった職人の末裔による同族会社にして、ダグラス・レイン社の系列。広大な熟成庫を持ち、60年代以降、色付けとチル・フィルターを拒み、プロヴァナンス・コレクションの名のもとにボトリング。特にアイラ島の蒸留所とは太いパイプを持つ。マクギボン・プレミアム・リザーヴとのブレンデッド・スコッチも頒している。
同時頒布にアードベッグ9年やハイランド・パーク5年がある。
【マッカラン・ディスティラーズ・チョイス】※
40度のオフィシャル・ボトル。
シェリー樽熟成のウィスキーは最高の贅沢とされる。しかし、シェリー樽の数は限られ、高価なものになってしまった。現在なお、貯蔵のすべてにシェリー樽を用いるのはマッカランとグレンファークラスのみ。シェリー銘醸地ヘレスの香りとエレガントな味わいを愉しむべし。
【マッカラン7年】※
伊太利亜向けにリリースされたオフィシャル・ボトル、40度。
12年ものと比して香りが淡く、膨よかさに欠ける。しかし、味わい喉ごしとも遜色なし。
スコッチ・ウイスキーの消費量は欧州が最も多く、全体の四割を占め、特に仏蘭西、伊太利亜、西班牙、希臘はその傾向が著しい。ちなみに、英吉利国内の消費量はその内の一割にも満たない。グレン・グラントの5年ものや本品等、輸出専用ラベルのボトルも多い。
【マッカラン '90 (G.M)】
ゴードン&マクファイル社のコレクション、スペイ・モルトの一本。8年ものにして40度。オフィシャルの12年ものと比してかなり辛口。フィニッシュが僅かに浅い。
☆【マッカラン '90(ドナート)】
ダン・イーディアンの一本。11年もの、46度。2樽、695本のリミテッド・エディション。
ドナート社はイタリアのジェノヴァに在する酒商。ダン・イーディアンとのコレクションを頒す。ちなみに、ダン・イーディアンとはスコットランドの古都エディンバラのケルト語読み。本品以外に、カリラ10年、ボウモア8年、オスロスク12年等 がボトリングされている。
☆【マッカラン '89 (ハート・ブラザーズ)】
本品は10年もの、43度。オフィシャルと比して中辛口。記載はないがシェリー・カスク。
ハート・ブラザーズ社の創業は1988年。グラスゴーを本拠地とするインデペンデント・ボトラー。ドナルドとアリスター・ハートが選んだ樽からボトリングされたシングル・モルトのセレクションを頒布。同じ89年蒸留の8年ものカスク・ストレングスがブラッカダー社から頒されている。
【マッカラン12年】※
並行輸入の12年もの、43度のオフィシャル・ボトル。
蜜柑蜂蜜の柑橘系の香りがやや稀薄。もっとも日本人は蓮華や菜種等、癖のない花蜜を好むので、慮る必要はないかも。口に含むと若干アルコールの刺激臭が見受けられる。単純な物言いをすれば、甘辛で済む範囲なのだが、バランスへの細やかな気配りに於いて、サントリーが扱う正規品に軍配が挙がる。
☆【マッカラン12年】※
43度のオフィシャル・ボトル。正規品。
熟成にスパニッシュ・オークのシェリー樽、それもオロロソの樽を用いるのが特徴。カラメルによる着色は一切施されていない。樽の選択に費やされたであろう労力に脱帽。
ナッツ香とバニラ香に彩られた滑らかな甘口。ラガヴーリンと共に傑出したバランスを誇る食後酒であり、トップ・ドレッシングのひとつ。
☆【マッカラン '90(ジョン・ミルロイ)】
ミレニアム・セレクションの一本。シェリー樽の9年もの、50度のプリファード・ストレングスにしてシングル・カスク。89年のヴィンテージもあり。
オフィシャルの100Pやクライズデール社のカスク・ストレングスより美味。マッカランの稟質が強く顕れてい、モルトの多面性を識るに最適。スプリングバンクの場合も同様のことが言えるのだが、甘口のカスク・ストレングスのアルコール度数は低いに越したことはない。高いほどきれが悪くなり、アフター・テイストが愉しめなくなる。
☆【マッカラン '88(V.M)】
クーパーズ・チョイスの一本。11年もの、43度。
ヴィンテージ・モルト社が伊太利亜向けにリリースしたシェリー・カスク。バランスの良さが身上、中辛口。瓶詰業者のマッカランとしては及第点を軽くクリア。
☆【マッカラン '88 (シグナトリー)】
ミレニアム・エディションの一本。シェリー・バットの12年もの、43度、限定732本のシングル・カスク。
エディンバラに本拠を置くシグナトリー社は、1980年代後半からモルト・ウィスキーのボトリングを行う。
【マッカラン '88(マクギボン)】
12年もの、43度。
グラスゴーのインデペンデント・ボトラー、ダグラス・マクギボン社のセレクト。
色にも香りにもシェリー・カスクの影響は顕れていないが、飲み口はやはりフルボディ。強いハニーと甘い花の香り、フルーティーかつジンジャー・スパイスの味わい。フィニッシュは優雅な纏まりをみせるが、幾分ショート。
【マッカラン '89 カスク・ストレングス(クライズデール)】
シェリー・バットの9年もの、60.8度、限定360本のシングル・カスク。
カラメルやラム・レーズンの甘く芳醇な香りとオイリーな味わいを最大限引き出したクライズデールのシングル・カスク。
蓋し、当ボトルに限っては、喉に絡みつくような甘味と高アルコールが相俟って些か飲みづらく、酒菜には黒糖の花林糖や羊羹など、甘さを甘さで打ち消す肴が必要になる。
☆【マッカラン15年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
二条大麦のゴールデンプロミス種を原料に用いる。コスト高のため、蒸留所周辺の土地を買い集め、栽培を委託している。現在なお、同種にこだわり続けるのはマッカランのみ。
☆【マッカラン '81】※
並行輸入の18年もの、43度のオフィシャル・ボトル。正規品と同じシェリー・カスクだが、バニラ香が幾分控え目。
上質の蜂蜜の香りを彩る僅かなスモーキー・フレーバー。フルボディにして、長くメローなフィニッシュ。トップドレッシングに相応しく、特に18年ものは百貨店ハロッズのウィスキー読本で「シングルモルトのロールスロイス」と絶賛される食後酒。幅広くシェリー樽を用いるが、特にオロロソの樽の入手に努力している。
オフィシャルではグラン・レゼルヴ18年、25年、30年、50年の他、多数のヴィンテージものがある。
☆【マッカラン '89 カスク・ストレングス(S.M.S)】
オロロソ・シェリー・カスクの10年もの、59.6度、1樽のみのリミテッド・エディション。
スコッチ・モルト・セールス社のカスク・セレクションの一本。利き酒師が用いる500・の薬瓶のような目盛りの付いたボトルがお洒落。
☆【マッカラン '72(ハート・ブラザーズ)】
シェリー・カスクの25年もの、43度。
マッカランの25年ものが、かかる値で味わえるのは本品のみ。他にオフィシャルよりも安価なボトルではアストログレン社の50年ものがある。
【マノックモア '90(マクギボン)】
プロヴァナンスの一本。10年もの、43度。
☆【マノックモア '84(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの10年ものにして、40度。
1989年に操業再開。樽の内側の焦がし方が尋常でなく、ウィスキーの色合いを濃厚にする要因となっている。
他にロッホ・デューと名付けられたブラック・ウィスキーが頒されている。
☆【マノックモア12年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
グレンロッシーとは兄弟蒸留所。共にヘイグとディンプルの重要な原酒モルト。蒸留所の近辺には多くの丘や森が点在し、野鳥の宝庫として識られる。
フレッシュでクリーン、絶妙の軽み。青い果実、シリアル系の香り。フィニッシュにシナモンの香、暖かみのある切れ上がりを経て、心地よいラスト・ノート。
☆【マノックモア '74 カスク・ストレングス(レア・モルト)】
ユナイテッド・ディスティラーズ社のレア・モルト・セレクションの一本。22年もの、60.1度。
U.D社はギネス・グループの一員にして、半数近い蒸留所を所有するスコッチ業界の最大手。
他にマキロップ社からもカスク・ストレングスが頒されている。
【ミルトンダフ12年】※
43度のオフィシャル・ボトル。
バランタインやアンバサダーの主要モルト。香り、味、フィニッシュ共、軽快でミュート。自己主張のなさに逆に気品を感じることも。
僅かにフルーツ香、麦芽の甘味とクリーンでスムースな飲み口。バランスを重視した控え目な甘口はビギナー向け。
他にG.M社とマキロップ社から数種のボトルが頒されているが、G.M社の68年蒸留の30年ものは特に美味。
【モストウィー '75(G.M)】
18年もの、40度。
グレンバーギ蒸留所がローモンド・スティルを導入してグレンクレイグを蒸留していたのと同様、ミルトンダフ蒸留所は一時期、ローモンド・スティルによる別種のモルト、モストウィを醸していた。ローモンド・スティルの導入は1964年から81年まで。よりヘビーにしてオイリーな味わいが特徴とされる。もっとも、ローモンド・スティルは既に撤去、ごく少量の在庫のみが出回っている。
他にマキロップ社、キングスバリー社、ジェームズ・マッカーサー社からカスク・ストレングスが頒されている。
【モートラック '90(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。10年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定720本のリミテッド・エディション。
【モートラック '88 カスク・ストレングス(ウィルソン&モーガン)】
バレル・セレクションの一本。シェリー・カスクの10年もの、58.5度。
他にシグナトリー社とブラッカダー社から数種のボトルが頒されている。
☆【モートラック '84(G.M)】
11年もの、40度。ゴードン&マクファイル社の100周年記念ボトルの一本。同社からは実に多くのヴィンテージものが頒されている。
濃厚なピート香と僅かに青林檎のキャラクター、柔らかいタンニンを持つミディアム・ボディ。シェリー樽由来のナッツ香とソフトなバニラの味わい、甘さとピート香のバランスに優れる。フィニッシュは長く、U.D社の16年ものと比べ、より爽やかにしてエレガント。
☆【モートラック '84 カスク・ストレングス(アデルフィ)】
11年もの、59.7度、限定576本のシングル・カスク。
エディンバラのザ・アデルフィ・ディスティラリー社は、1902年に閉鎖したアデルフィ蒸留所のオーナーの末裔ジミー・ウォーカーが1993年に創業。低温濾過、即ちフィルターの無使用と無着色のカスク・ストレングスを専門に扱う。ラベルとボトルのデザインはスコットランドのグラハム・スコットの手になる。少量生産のため、英吉利では主にメール・オーダーで頒されている。
☆【モートラック '90 カスク・ストレングス(V.M)】
ヴィンテージ・モルト社のクーパーズ・チョイスの一本。シェリー・カスクの8年もの、59.1度。
☆【モートラック16年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
ダフタウン最古の創業、スペイサイドのよさをすべて備えたメローな食後酒。ジョニー・ウォーカーの原酒モルトのひとつ。
チョコレート、ダーク・ラム、シェリー酒等の深い甘味、豊かなフルーツ香とペカンの実の香り、充実のフル・ボディ。G.M社の11年ものと比して、どこまでもまろやかにして濃厚、穣々たるフィニッシュ。
リミテッド・エディションにて、本シリーズのカスク・ストレングスも頒されている。
【モートラック '69(G.M)】
レア・オールド・モルトの一本。27年もの、40度。
6基のポット・スティルはすべて形状が異なり、蒸留作業は煩雑を極めるという。 幸いにして、その工程がモートラックの豊かなこくを生み出す要因になっている。
【モートラック '78 カスク・ストレングス(レア・モルト)】
ユナイテッド・ディスティラーズ社のレア・モルト・セレクションの一本にして、20年もの、62.2度。
☆【リンクウッド '89(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。11年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定624本のリミテッド・エディション。
☆【リンクウッド '88(シグナトリー)】
ミレニアム・エディションの一本。オロロソ・シェリー・バットの11年もの、43度、930本のリミテッド・エディション。同じシェリー・バットの12年ものも頒されている。
味を変える怖れのある環境の変化を忌み、かつては蒸留所内の蜘蛛の巣でさえ払うのを禁じたという。99%がブレンド用で、アポッツ・チョイス並びにチェッカーズの原酒モルト。
☆【リンクウッド '89 カスク・ストレングス(V.M)】
ヴィンテージ・モルト社のクーパーズ・チョイスの一本。9年もの、59.6度。
グレンロッシーやロイヤル・ロッホナガーと共にソフィスティケーテッドなウィスキーとして識られる。人気筋なだけに、他にケイデンヘッド社、ブラッカダー社、ウィルソン&モーガン社、ダグラス・レイン社、キングスバリー社、サマローリ社等から様々なボトルが頒されている。
☆【リンクウッド12年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
ユナイテッド・ディスティラーズ社からは、本シリーズとレア・モルト・セレクションの双方からカスク・ストレングスが頒されている。
蒸留所内の冷却水を貯めておく池には毎年、白鳥が飛来するという。ラベルに描かれた白鳥の謂である。
林檎のキャラクター、軽く華やかな香りとこく。バランスが佳く、雑味のない静謐な味わい。仄かにスパイシーなフィニッシュ。
☆【リンクウッド25年(G.M)】
40度。
蒸留所のあるマレイ州の中心地エルギンは、モルト愛好家には馴染みの瓶詰業者、G.M社の本拠地でもある。
まろやかで飲みやすいボディと花のような香り、適度のこくとスムースなフィニッシュ。昔から「入手できる最上のモルトのひとつ」と讃えられている。
☆【ロングモーン '90(ドナート)】
ダン・イーディアンの一本。シェリー・カスクの10年もの、46度。限定415本のリミテッド・エディション。
ドナート社はイタリアのジェノヴァに在する酒商。ダン・イーディアンとのコレクションを頒す。ちなみに、ダン・イーディアンとはスコットランドの古都エディンバラのケルト語読み。他にアベラワー10年、オスロスク12年、カリラ10年、ボウモア9年、マッカラン11年等がボトリングされている。いずれもがコスト・パフォーマンスに勝れ、かつ美味。
☆【ロングモーン15年】※
45度のオフィシャル・ボトル。
グレン・グラント、グレンリヴェット同様、シーグラム社の傘下に入り、クィーン・アンやサムシング・スペシャルの原酒モルトになったが、前二者とは異なり、豊かな個性、即ち伝統を固持している。一癖も二癖もある香りとスパイシーなフィニッシュ。食前酒として右に出るものなし。
☆【ロングモーン12年(G.M)】
本品は40度。オフィシャルと比して度数は低いが、キリキリと咽を刺すようなフィニッシュはこちらの方が強烈。
マッカランやグレンファークラスと並ぶトップ・ドレッシングのひとつとして、厚い信頼をブレンダーから受けている。ベンリアックの兄貴分に当たる蒸留所。
☆【ロングモーン '69 カスク・ストレングス(G.M)】
62度。
バニラやレーズン、ラム酒を想わせる華やかな香り。ドライでスパイシー、かつ拡がりのある味わい。喉ごしは滑らかだが、舌先にごく僅かな渋味が残る。蓋し、秀でた食前酒であり、エルギン地区を代表する佳酒。
【ロングモーン・グレンリヴェット '70(ベリー・ブラザーズ&ラッド)】
28年もの、43度。
ベリー・ブラザーズ&ラッド社はロンドンに店を構える酒類、雑貨販売の老舗で、ベリーズ・オウン・セレクションで識られる。
アベラワーやグレンアラヒ、もしくはモートラックやリンクウッドはモルト・ウィスキーの優等生。今一歩の刺激をという方には、ピティヴェアックやロングモーンがお薦め。
他にシグナトリー社、ケイデンヘッド社、キングスバリー社、ジェームズ・マッカーサー社のボトルがあり、特にハート・ブラザース社の68年蒸留のカスク・ストレングスは美味。