☆は店主お薦め、※はオフィシャル・ボトルもしくは蒸留所元詰の意で用いました。
【インヴァリーブン '84(G.M)】
11年もの、40度。
過去、オフィシャルが販売されたことはなく、蒸留所そのものも91年に閉鎖。G.M社のボトルが数種とケイデンヘッド社とザ・ボトラーズ社のカスク・ストレングスが出回るのみ。
ローランド地域で最後までローモンド・スティルを使用した蒸留所。ちなみに、ローモンド・スティルを用いたモルトではアイランズのスキャパが有名だが、他にも、グレンバーギ蒸留所のグレンクレイグ、ミルトンダフ蒸留所のモストウィ等がある。
☆【オーヘントッシャン・スリーウッド】※
43度のオフィシャル・ボトル。
バーボン、オロロソ・シェリー、ペドロヒメネスの3種の樽で熟成させたモルトをヴァッテド。軽い飲み口のオーヘントッシャンにトフィーとシェリーの豊かで複雑な香味を与えている。
ローランドに現在残る蒸留所はオーヘントッシャン、グレンキンチー、ブラッドノックのわずか3箇所のみ。伝統の3回蒸留では唯一の蒸留所となった。蒸留所はローランドだが、水源はハイランド。
【オーヘントッシャン '78 カスク・ストレング】※
18年もの、58.5度のオフィシャル・ボトル。
セレクト、10年、21年の他、数種類のカスク・ストレングスがオフィシャルとして頒されている。
☆【グレンキンチー10年】※
U.D社のクラシック・モルト・シリーズの一本、43度のオフィシャル・ボトル。
ローランド・モルトの特色をよく備え、酒質は軽く、癖の尠ない辛口で飲みやすい。けだし香りが豊かで、入門編として格好。ヘイグのキー・モルト。
柔らかな燻香と微かな磯の香が持ち味。こぢんまり纏まった巧緻な味わい。
フィニッシュは最初はドライ、次第にスパイシーに変化する。蕃椒の辛さ。
☆【グレンキンチー・アモンティリャード '86】※
U.D社のザ・ディスティラーズ・エディションの一本、43度。オーバン、ラガヴーリン、クラガンモア、グレンキンチー、ダルウィニーの6種があり、各々異なる仕上げになっている。本品はフィニッシュにアモンティリャードのシェリー・カスクを用う。
【セント・マグデラン '81(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの16年もの、40度。
ローランドの特徴であるソフトでスムースな飲み口、ニートが似合うミディアム・ボディ。フィニッシュは程良く、スイートからドライへ。後口にごく僅かな苦み。
他に、G.M社のボトルでは66年のヴィンテージも美味。
【セント・マグデラン '80(G.M)】
ゴードン&マクファイル社の100周年記念ボトルの一本。15年もの、40度。
セント・マグデラン蒸留所が建てられたのは1765年、一方で創業は1797年ともされる。いずれにせよ、リトルミルやローズバンク等と共に、最古参の蒸留所だったが、1983年に閉鎖、現在ではアパートメントになっている。ストックが尽きた段階で永久に飲めなくなるモルト・ウィスキー。
☆【セント・マグデラン '75(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。バーボン・バットの23年ものにして、41.5度、限定618本のシングル・カスク。
ウィスキーの供給は時と共に減少の一途だが、年を経た樽からのボトルは現在なお入手可能。同じヴィンテージの24年ものも頒されている。アルコール度数は僅かに異なり、41.6度。
☆【リンリスゴー '82 カスク・ストレング(マキロップ)】
マキロップ・チョイスの一本にして16年もの、61.2度、シングル・カスク。
マキロップ社はグラスゴーのインデペンデント・ボトラーにして、中味はセント・マグデラン。ちなみに、リンリスゴーとは蒸留所が在した町の名。他にスコッツ・セレクション社やダグラス・レイン社からも同名のボトルが頒されている。
今の内にトライすべきミディアムボディ。充実したボディはバランスがよく、シェリー風味のソフトな美酒に仕上がっている。
☆【セント・マグデラン '79 カスク・ストレング(レア・モルト)】
U.D社のレア・モルト・セレクションの一本にして19年もの、63.8度。
ローランドの銘酒キンクレイスの生産終了が75年、レディバーンが76年、ついで「幻の酒」と化すのがセント・マグデランである。アイラ島のポート・エレンと共に、あと2〜3年で在庫が尽きる運命。以前にボトリングされた70年蒸留のレア・モルトは極めて入手困難。
☆【ブラッドノック '87(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの一本にして、40度。
熟成されたラム酒、檸檬を中心とする柑橘系の香り。しっとりと洗練されたフル・ボディ。厚みのあるフィニッシュ。
同社からは同じヴィンテージのカスク・ストレングスも頒されている。
☆【ブラッドノック10年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
一昔前はオフィシャルとして8年ものが出回っていた。
93年に閉鎖されたが、99年にアームストロング社が操業を再開。数尠なくなったローランドの蒸留所がひとつ救われた。
☆【ブラッドノック17年 カスク・ストレング(ケイデンヘッド)】
オーセンティック・コレクションの一本。オーク・カスクの57.2度。
スコットランドで最も南に位置する蒸留所。温暖な気候のせいか、デリケートで豊かな香りとしっかりしたボディを持っている。ローランドでは出色のモルトウィスキー。
11年ものを始め、ケイデンヘッド社のボトルが多いが、他にシグナトリー社、キングスバリー社からもボトルが頒されている。特にシグナトリー社のサイレント・スティル・シリーズの一本、19年ものカスク・ストレングスは美味。
【リトルミル8年】※
40度の旧オフィシャル・ボトル。
「濡れたダンボールの匂い」で識られるオールド・ファッションのモルトだったが1995年に閉鎖、いずれは記憶の彼方に。ハイランド・ミストの主要モルト。
黴臭く、樽臭く、安価な白ワインの味わい。掛け値なしにユニーク。侘びしさを噛み締めるときに最適。
オフィシャルのヴィンテージものの他に、シグナトリー社とケイデンヘッド社からボトルが頒されている。
【ローズバンク '92(V.M)】
ヴィンテージ・モルト社のクーパーズ・チョイスの一本。オーク・カスクの7年もの、43度。
「野薔薇の堤」と題されたミディアムボディ。伝統の3回蒸留を味わうに最適だったが、93年5月に閉鎖。ローランドを代表するモルトウィスキーがまたひとつ消え去るのか、再起が望まれる蒸留所である。
☆【ローズバンク '88(G.M)】
コニッサーズ・チョイスの10年もの、40度。他に83年のヴィンテージあり。
かつてはハイランドに負けない数の蒸留所があったが、現在操業を続けるのはオーヘントッシャン、グレンキンチー、ブラッドノックの3社のみ。3回蒸留では、他にオーヘントッシャン、ベンリネス、愛蘭土のブッシュミルズがある。
【ローズバンク '89(マクギボン)】
11年もの、43度。
グラスゴーのインデペンデント・ボトラー、ダグラス・マクギボン社のセレクト。
ライトでスムースなボディ。加水により、ハニー香とフルーティな味わいが際立つ。ドライなフィニッシュをもって、アペリティフとして秀逸。
【ローズバンク '89(ダグラス・レイン)】
オールド・モルト・カスクの一本。11年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定360本のリミテッド・エディション。
【ローズバンク '89(シグナトリー)】
オーク・カスクの8年もの、43度。2樽、730本のリミテッド・エディション。
90年の9年ものもあり、他にマキロップ社、マーレイ・マクデヴィッド社、クライズデール社、ケイデンヘッド社、ダグラス・レイン社、マッキンタイア社からボトルが頒されている。
ソフトな口当たりに甘いアロマ香。初手は甘味を感じさせるが、フィニッシュはドライ。
☆【ローズバンク12年(U.D)】※
花と動物シリーズの一本。43度のオフィシャル・ボトル。
初手はフレッシュな甘味と焼き林檎の香り。味わいはシャープだが加水するとスイートに。フィニッシュはスムースな辛口。
U.D社からは同シリーズとレア・モルト・セレクションの双方からカスク・ストレングスが頒されている。