☆は店主お薦め、※はオフィシャル・ボトルもしくは蒸留所元詰の意で用いました。

 【アイル・オブ・ジュラ10年】※

  43度のオフィシャル・ボトル。本品は旧ボトル。

   ライト・ボディの甘口、爽やかな香りはビギナー向け。オフィシャルでは他に16年、21年、リミテッド・エディションの20年ものカスク・ストレングスがある。

   アイラ海峡を挟み、ジュラ島はアイラ島の北東に位置する。人口200人足らずの過疎地で、ジョージ・オーウェルが「1984年」を執筆したことで知られる。

 【アイル・オブ・ジュラ '75(シグナトリー)】

   オーク樽による22年もの、43度、限定510本のシングル・カスク。

   オフィシャル・ボトルと比して、格段に華やかなヘザー・ハニーの香り。加水により香りは更に匂い立つ。ニートでも飲みやすく、きれのよいフィニッシュ。

   他にG.M社、クライズデール社、ケイデンヘッド社、キングスバリー社、ダグラス・レイン社等から様々なボトルが頒されている。

☆【スキャパ '88(G.M)】

   11年もの、40度。

   ラム・レーズンの厚い香り、バニラやチョコレートを想わせる柔らかな味わいと際立ってオイリーな喉ごし。フィニッシュは長く、加水するとフルーティーに。

   ゴードン&マクファイル社からは83年、86年、87年等、多くのヴィンテージが頒されている。

☆【スキャパ12年】※

   バーボン・カスク、40度。

   オークニー諸島ポモナ(メインランド)のスキャパ湾で醸される地酒。バランタインの「魔法の七柱」のひとつ。かつてはG.M社の8年もしくは10年ものしか手に入らなかったが、先頃、少量だがオフィシャル・ボトルが販売されるようになった。 現在、ハイランド・パークによって蒸留所は運営されている。

☆【オールド・マン・オブ・ホイ カスク・ストレングス(ブラッカダー)】

   中味はスキャパの10年もの、59.3度。

   インデペンデント・ボトルにして、ホイは一本マストの漁船のこと。ナチュラルカラー、低温濾過は施されていない。オフィシャルと比して甘味に特徴。ハーブのキャラクターとリッチな蜂蜜の添え香。

 【スキャパ '89(シグナトリー)】

   ミレニアム・エディションの一本。オーク・カスクの10年もの、43度。限定468 本のシングル・カスク。

   仕込用水には蒸留所周辺の泉の水を用う。ピート色が濃く、まるでチョコレートのようだが、原料となる大麦麦芽にピートは焚かない。そしてスキャパ特有のローモンド・スティル。共に1885年の創業から続くオイリーな飲み口の原点のひとつ。

   他にローモンド・スティルでは、ローランドのインヴァリーブンが識られる。

☆【スキャパ '89(ジョン・ミルロイ)】

   プリファード・ストレングスの50度。

   オフィシャル・ボトルと比して、オーク樽由来のタンニンが強く、大胆なまでに濃厚な舌触り。よりドライでスパイシーなフィニッシュ。

 【スキャパ '88 カスク・ストレングス(ケイデンヘッド)】

   オーセンティック・コレクションの一本。オーク・カスクの9年もの、63.6度。

   同じカスク・ストレングスでも、アルコール度数の違いは異なる印象を飲み手に与える。オールド・マン・オブ・ホイと飲み比べるのも一興。

   他にキングスバリー社からもカスク・ストレングスが頒されている。

 【ヴィンテージ・アイランド(シグナトリー)】

   シグナトリー社が8年もののタリスカーを瓶詰め。40度。

   ピーティーかつスピリッティな辛口。アルコール度数が低く、飲みやすいタリスカーである。オフィシャルは8年から10年ものに移行。現在味わえる8年ものは本品とマクロードのボトルのみ。

☆【タリスカー10年】※

   U.D社のクラシック・モルト・シリーズの一本、45.8度のオフィシャル・ボトル。

   スカイ島の荒々しい自然を地でゆくハードボイルドなモルト。口当たりのよい酒に、一滴落として飲むのも 一興。たちまち強烈なパワーを秘めたウィスキーに生まれ変わる。ジョニー・ウォーカーの原酒のひとつ。

   中味は同じだが、リサイクルを鑑み、ラベルの異なるクリアーなボトルが2000年に頒された。

 【アイランド8年(イアン・マクロード)】

   イアン・マクロード社のリリースになるタリスカー。40度。

   同社はタリスカーをベースに用いたブレンデッド・スコッチ「アイル・オブ・スカイ」の製造元。本品と共にアイラ(ラガヴーリン)やスペイサイド(グレンファークラス)等が頒されている。ちなみに、スカイ島はマクロード一族が700年以上にわたって支配してきた島。

☆【アイランド10年(シールダイク)】

   ウィリアム・マックスウェル社のリリースになるタリスカー。43度。

   シールダイグとは西ハイランドにある風光明媚な漁村。アルマニャックのボトルを用い、ギフト用として仏蘭西国内で販売されている。ちなみに、ウィリアム・マックスウェル社はイアン・マクロード社の子会社。

   オフィシャルと比して、アルコール度数が低い。その分、香りがいささか弱いのは否めないが、シャープで飲みやすいのが利点。

☆【タリスカー '88(ダグラス・レイン)】

   オールド・モルト・カスクの一本。11年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定374本のシングル・カスク。

   素顔のタリスカーを識るに最適。スコマ社のタリスカー同様、胡椒と荒塩の強烈な 味わい。ラスト・ノートに烟るが如き甘味。

   他にG.M社やケイデンヘッド社からカスク・ストレングスが頒されている。ケイデンヘッド社のボトルにはオーセンティック・コレクションとボンド・リザーヴの2種あり、特に後者は美味。

☆【アイランド・クラシック10年 カスク・ストレングス(S.I)】

   オーク樽の10年もの、56度のシングル・カスク。中味はタリスカー。

   樽の提供はイアン・マクロード社。ボトリングはスコティッシュ・インデペンデント・ディスティラーズ社にて、2001年。蒸留所名を用いるのが可能なボトルはマクロード社、不可能なボトルはスコティッシュ・インデペンデント・ディスティラーズ社と使い分けている。オーナーであるユナイテッド・ディスティラーズ社が蒸留所名の使用を快く思わないのが理由である。

☆【タリスカー '88(グレン・スコマ)】

   オーク樽の11年もの、46度、限定360本のシングル・カスク。

   スコマ社はキルシュ・インポート社と共に独逸の酒商。本品はディステラリー・コンディションにて、ボトリングもスコットランド。同時頒布にグレン・ギリー13年とアードベッグがある。

   スモーキーな潮の香、頭頂に抜けるシャープな辛口。舌の上で火花が弾けるパワフルな後口、妥協のない個性。

☆【タリスカー・アモロソ '86】※

   ザ・ディスティラーズ・エディションの一本。 45.8度。

   U.D社のクラシック・モルト・シリーズのダブル・マチュアード版。本品はフィニッシュにアモロソ・カスクを用う。

   ポートや甘口シェリーの樽を使った二度熟成のモルトの特徴は、樽由来のソフトなバニラ香とナッツ香、軽く焦がしたようなスモーキーなキャラクター、柔らかいタンニン等だが、バランスときれの良さに思いを致せば、かかる甘口仕様のウィスキーには酒質の軽い辛口が相応しい。甘さと辛さのクロスオーヴァー、ウィスキーが到達したひとつの至高点、旨味の極限がここに在る。

☆【タリスカー '79 カスク・ストレングス(S.M.S)】

   ディスティラリー・コレクションの一本。21年ものにして、58度。

   エディンバラのスコティッシュ・インデペンデント・ディスティラーズによるボトリング。リリースはスコッチ・モルト・セールス社。フィノ・シェリー樽を熟成に用いたフル・ボディ。

   90年代にボトリングされたタリスカーの中では秀逸な一本。オフィシャルと比して、アーモンドを想わせる甘い匂いが漂う。しかし飲めば豹変、タリスカーの中でもとびきりの辛口。胡椒とスモーキーな香味が炸裂する。

   かつて、47年蒸留の35年ものや55年蒸留の38年ものカスク・ストレングスがG.M社から頒されていたが、近頃は見掛けなくなった。他に、蒸留所の売店で直販されている15年ものカスク・ストレングスがあり、高価だが、そちらは入手可能。

 【タクティカル '80(ダグラス・レイン)】

   ダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスクの一本。20年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定359本のシングル・カスク。

   ブローカを経て入手したカスク、もしくはボトラー同士の売買によるカスク等、生産元が熟成を管理していないものに関しては、蒸留所名やブランドの記載を拒まれることもある。本品はそのような、謂わば出自不明のタリスカー。

   同時頒布にダラス・ドュー31年、ローダブル15年、スペイサイド・アノニムス34年等がある。なお、ローダブルの中味はラフロイグ、アノニムスはグレンファークラス。

 【タクティカル '75(ダグラス・レイン)】

   オールド・モルト・カスクの一本。25年もの、50度のプリファード・ストレングス。570本のリミテッド・エディション。中味はタリスカー。

   「飲酒というよりは遭遇であり、一種の体験である」とマイケル・ジャクソンをして讃嘆せしめたのがタリスカーである。

 【タクティカル '71(ダグラス・レイン)】

   オールド・モルト・カスクの一本。28年もの、50度のプリファード・ストレングス。限定234本のシングル・カスク。中味はタリスカー。

   ダグラス・レイン社と張り合って、キングスバリー社からも70年蒸留の30年もの、72年蒸留の28年ものがボトリングされた。ケルティック・コレクションの一本にして、共に「ヘブリディーズ」と名付けられている。蒸留所元詰の15年ものより酒質は勝り、かかるボトルが頒されるのはタリスカー党にはありがたい。しかし、日を追って蒸留所とボトラーズの仲が険悪になっていくのは気掛かりである。

 【トバモリー10年】※

   40度のオフィシャル・ボトル。

   スカイ島とジュラ島のほぼ中間に位置するマル島唯一の蒸留所。アイラやスカイ島のタリスカーに似たヨード臭や塩辛さが特徴。

   スピリッティな味わい、スパイシーかつドライなフィニッシュ。

 【トバモリー】※

   創業200年記念ボトル。40度のリミテッド・エディション。

   10年ものと比して、香味に値ほどの差別化がなされていないのが残念。他に「ハウス・オブ・ダヴァー」と題されたインデペンデント・ボトルがある。また、「オールド・マル」と題するブレンデッド・ウィスキーが頒されているが、こちらは名称のみにて、トバモリー蒸留所とはなんら関係ない。

 【ヴィンテージ・マル・モルト(シグナトリー)】

   シグナトリー社が5年もののレダイクを瓶詰め。40度。

   タリスカーに似たスピリッティな辛口。淡いピート香と口に含んだ時のピーティーな味わいは、若いレダイクといったところ。

☆【レダイク・ピート】※

   42度のオフィシャル・ボトル。

   下記と同種の函に納められて頒布。オフィシャルなるも記載なく、詳細は不明。おそらく5年ものと想われる。シグナトリー社のボトルと比して、遙かにオイリーにしてピーティー、ミントを想わせる甘味を伴ったフィニッシュは絶品。

☆【レダイク・シェリー】※

   ミレニアム記念の限定エディション。シェリー・フィニッシュにして、42度。

   グレンファークラス同様、オイリーなフィーリングがシェリー・カスクによって伸びやかに拡がる。レダイクの個性が活かされた成功例のひとつ。

☆【レダイク '90(G.M)】

   コニッサーズ・チョイスの8年もの、40度。

   81年から90年までの操業休止の後、久しぶりに再開されたモルト。ゴードン&マクファイル社は独立瓶詰業者のさきがけであり、1895年、エルギンにて創業。今 日のモルト・ウィスキー人気の蔭の立て役者。

   かつて73年、74年のレダイクが同社から頒されていたが、現在では入手不可能。

 【レダイク '92(ブラッカダー)】

   オーク樽の6年もの、43度のシングル・カスク。

   スイート、ペパリー、スモーキーなキャラクターが売り。熟成期間の割にピート香が深い。ブラッカダー社からは異なるヴィンテージも頒されているが、特に1974年の21年ものは傑出したモルト。

 【レダイク '92 カスク・ストレングス(クライスデール)】

   熟成は6年11箇月、63.4度、限定300本のシングル・カスク。

   オリジナル・スコッチ・ウィスキー社が熟成5〜10年の若い樽をセレクト。他のボトラーとの差別化を図る。低温濾過、加水、着色を一切行わない。コレクションの総称クライズデールとはグラスゴー近郊にかって存在した蒸留所名。

   他にカレドニアン・コネクション社から7年ものカスク・ストレングスが頒されている。

☆【レダイク15年】※

   2000年のボトリングにして、43度のオフィシャル・ボトル。

   70年代前半のレダイクを飲む度に脳裏に立ち顕れた島嶼、はたまた海角、海嘯を想い起こさせる美酒。淡い柑橘系の香り、深いヨード香。20年ものと比して、樽由来のタンニンが強く、かつてないピーティーな味わい。アイラ・モルトに一層近づいたとの印象を抱かせる。

 【レダイク20年】※

   1999年のボトリングにして、43度のオフィシャル・ボトル。

   マル島のトバモリー蒸留所は2種類の銘柄を醸している。その一つがレダイク。トバモリーとは異なり、赤みがかった琥珀色で、ピート香が強く、長く残るスモーキー・フレーバーが特徴。

   他に15年、19年ものが限定頒布されている。オフィシャルの熟年表記もしくはヴィンテージものの中ではもっともピート香が淡い。

 【レダイク '79】※

   1998年のボトリングにして19年もの、43度のオフィシャル・ボトル。他に同じヴィンテージの20年ものも頒されている。

   1993年にトバモリー蒸留所を買い取った、新しいオーナーのバーン・スチュワート社はレダイクに力を入れている。ディーンストン同様、これからが楽しみな蒸留所である。

☆【レダイク '79 カスク・ストレングス(S.M.S)】

   スコッチ・モルト・セールスのリリースにして19年もの、49.1度。

   蒸留所元詰めになる、1樽のみのリミテッド・エディション。同種のものが過去3度頒されているが、いずれもが貴重なシングル・カスクである。

   他にジェームズ・マッカーサー社とスコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティー社からカスク・ストレングスが頒されている。本品共々、極上の香味を持つ。

☆【レダイク '74】※

   18年もの、43度のオフィシャル・ボトル。

   マル島が生んだ銘酒であり、有無を言わせぬモルトの最高峰として君臨する。現地ではゲール語読みでレチョックと発音。他に72年、79年のヴィンテージが頒されているが、72年から75年のウィスキーは特に美味とされる。

   樽香が強く、若草の香り。繊細な柑橘系のキャラクター。ピーティーでスモーキー。芯の太さ、骨格の厚みを感じさせる。フィニッシュはドライからスイートに、力強く名状し難い余韻。

 【ヴィンテージ・オークニー(シグナトリー)】

   シグナトリー社が7年もののハイランド・パークを瓶詰め。40度。

   熟成期間が短く、色は淡いが、シェリー香はしっかりしている。

 【ハイランド・パーク '95 カスク・ストレングス(マクギボン)】

   プロヴァナンスの一本。5年もの、62.0度。

   ダグラス・マクギボンのセレクション。無着色にして低温濾過は施されていない。同時頒布にアードベッグ9年やマッカラン5年等がある。

☆【ハイランド・パーク12年】※

   43度のオフィシャル・ボトル。

   オークニー諸島のポモナで醸される世界最北の食後酒。独自のピートベッドから截(き)り出される若いピートにヘザーの根や枝も一緒に焚き込むのが特徴。言わば、アルザス・ワインのオークニー版。

   ヘザーハニーの香り、少々塩辛く微かにドライな味わいだが、加水すると甘口に変化する。豊かでビッグなフィニッシュ。

   12年ものでは他に、ジェームズ・マッカーサー社のボトルが入手可能。

☆【ハイランド・パーク8年(G.M)】

   マクファイルズ・コレクションの一本。シェリー・カスクの40度。

   オフィシャルの8年ものは今では頒布されていない。ゴードン&マクファイル社からは他にヴィンテージの異なるもの数種あり、いずれもがお薦めだが、とりわけ100周年記念ボトルは美味。カスク・ストレングスでは64年がお薦め。

 【ハイランド・パーク '88 カスク・ストレングス(クライスデール)】

   シェリー・バットの9年もの、58.4度、限定360本。

   クライズデールを頒するオリジナル・スコッチ・ウィスキー社はシングル・カスク専門のインデペンデント・ボトラー。5年から10年の比較的若いモルトを瓶詰め。値も手頃で、モルト・ウィスキーの素地を知るには最適のコレクション。

   他に89年蒸留の11年ものが頒されていて、ケイデンヘッド社からは88年と89年のカスク・ストレングスがボトリングされている。

 【ハイランド・パーク '88(ダグラス・レイン)】

   オールド・モルト・カスクの一本。シェリー樽の10年もの、50度のプリファード ・ストレングス、限定478本。

   ダグラス・レイン社はグラスゴーでスコッチのブレンドと輸出を営む。創業は1949年。本品にはチル・フィルターが施されている。オールド・モルト・カスクは大半がシングル・カスクであり、チル・フィルターの施されたものがクリアー・ボトルに、施されていないものがグリーン・ボトルに詰められる。なお、89年蒸留のボトルも頒されている。

 【ハイランド・パーク '90(ウィルソン&モーガン)】

   シェリー・カスクの9年もの、46度。

   蒸留所が建つオークニー諸島はスコットランドの北、大小70余の島からなる。オークニーとはヴァイキングのノース語で「海豹の島」の意。シェットランド諸島と同様、かつてはヴァイキングが支配する土地。

 【ハイランド・パーク '89(キングスバリー)】

   オーク・バットの8年もの、46度のシングル・カスク。

   キングスバリーは元スコットランド東部アバディーンのワイン商。現在では倫敦に本社を持ち、ワインと蒸留酒を扱う。同社のモルトはすべてシングル・カスク。ラベルに著されたテイスティング・ノートは鑑定家ジム・マレーの手になるもの。同じヴィンテージの12年ものもボトリングされている。

 【ハイランド・パーク '88(シグナトリー)】

   シェリー・バットのミレニアム・エディション。10年もの、43度。同じヴィンテージの9年ものも頒されている。

   蒸留メーカーは樽売りが商売。従って、業者の注文に応じて様々な樽を用いる。また、シグナトリー社やケイデンヘッド社は自らの熟成庫を持つが、中には熟成をメーカーに一任する独立瓶詰業者もいる。

 【ハイランド・パーク '88 カスク・ストレングス(マキロップ)】

   シェリー・カスクの10年もの、61.5度のシングル・カスク。

   シェリー・カスクとはスパニッシュ・ホワイトオークを原材料に、シェリー酒の熟成に使われた樽のこと。容量は大半が500Pで、シェリー・バットとも称される。熟成に用いられる樽としては最も大型である。なお、初めてウィスキーの熟成に用いるシェリー樽、即ちシェリー・カスクをフレッシュ・シェリーと称し、再度のおつとめになるカスクをリフィール・シェリーという。

 【ハイランド・パーク '88 カスク・ストレングス(ブラッカダー)】

  ロウ・カスクの一本。シェリー・バットの58度。505本のリミテッド・エディション。

☆【ハイランド・パーク '87 カスク・ストレングス(G.M)】

   9年もの、63.7度、7樽の限定品。

   熟成用の樽は、オークの新樽の他、香味をより複雑にするためにバーボン、ラム、ブランディー、シェリー、マディラ、マラガ、ポート、赤白ワイン等の樽も再利用される。樽の種類並びに使用頻度、即ちカスクの歴史によって、モルトの風味はすべて異なる。樽の寿命は40〜50年だが、最後はグレン・ウィスキーの熟成に使われ、一部は薫製用のチップになる。

 【ハイランド・パーク '80(ハート・ブラザーズ)】

   ファイネスト・コレクションの一本にして、16年もの、43度。

   樽の話の序でに、バーボン樽は180Pのバレル樽。さらに250Pのホグスヘッド樽があり、シェリー・バットは500Pの容量となる。樽は大きいほど、熟成がゆっくりと行われ、スコッチに適しているとされる。従って、大半のバーボン樽は側板を増やしてホグスヘッドに改造される。ホグスとは豚のことで、豚一頭の重さがウィスキーを入れた樽の重さとほぼ等しいことから名付けられた。

 【ハイランド・パーク '88(マーレイ・マクデヴィッド)】

  フレッシュ・シェリー・カスクの10年もの、46度のシングル・カスク。

   M.M社からは同じヴィンテージの11年ものと79年の18年ものが頒されてい、また88年のシェリー・カスクがマッキンタイア社からもボトリングされている。

   複数の樽をヴァッティング、低温濾過を施して加水調整されたものがオフィシャル・ボトル(蒸留所元詰め)。それはそれで結構なのだが、シングルモルトの個性は樽の数に比例する。酒は嗜好品、違いを違いとして愉しむべし。

 【ハイランド・パーク '77(シグナトリー)】

   オーク樽による19年もの、43度、限定570本のシングル・カスク。

   同じヴィンテージの21年ものカスク・ストレングスも頒されている。また、本品とミレニアム・エディションとは、ほぼ同一の内容。

   シグナトリー社は1988年にリースで創業した独立瓶詰業者。幅広いセレクションをボトリングする業者であり、樽がもたらす個々の性格の違いを楽しむには最適。

☆【ハイランド・パーク '70(G.M)】

  ゴードン&マクファイル社の100周年記念ボトルの一本。シェリー・カスクの25年もの、40度。

同記念ボトルには美味なもの多し、要注意。

☆【ハイランド・パーク18年】※

   43度のオフィシャル・ボトル。

   北緯59度、オークニーの荒々しい自然に鍛え抜かれた「北の巨人」。ヘザー風味が強くハイランド・パーク独特の個性を醸し出す。オールラウンダーの食後酒。

   きらびやかなヘザーハニーの香り、まろやかでとろけるようなシェリー風味。

   グラン・シャンパーニュを想起させる長く力強いフィニッシュ。

☆【ハイランド・パーク '88 カスク・ストレングス(シグナトリー)】

  シェリー・バットの9年もの、58度、限定720本のシングル・カスク。

   香り、味わい、フィニッシュ共にトップクラスのモルト。この年のシェリー樽は既に完売、流通在庫のみの稀少品。

 【ハイランド・パーク '78(サマローリ)】

   オーク・カスクの17年もの、45度。360本のリミテッド・エディション。

   サマローリ社は伊太利亜ブレシアの酒商。オーナーがスプリングバンク蒸留所、ボトラーのケイデンヘッド社、ダスィー社と太いパイプを持つ。オリジナルのヴァテッド・モルトも頒している。低温濾過を施さない同社のウィスキーには檻が多く、またボトリングに際しては飲み頃を計量しつくしている。従ってコンディションの佳いボトルが過多を占め、モルト・ファンを喜ばせている。

   サマローリ社からは他に、80年蒸留の15年もの、17年ものと85年蒸留の15年ものが頒されている。

 【ハイランド・パーク '75 カクス・ストレングス(ブラッカダー)】

   オーク・カスクの20年もの、58.9度。

   マッカラン、ストラスアイラ、バルブレア、ボウモア等と共にハイランド・パーク にも熟成期間が40年を超えるものがある。レアものを否定はしないが、与えられた時代の中でのチョイスを愉しむのが最善ではないだろうか。

 【ハイランド・パーク '75 カスク・ストレングス(ハート・ブラザーズ)】

   バーボン・カスクの23年ものにして50.9度。

   ハート・ブラザーズ社は今、欧州で最も人気が高いインデペンデント・ボトラー。アルコール度数43度をモットーとしてきたが、最近ラベルの色を変えてカスク・ストレングスを手掛ける。同時に頒されたラガヴーリン12年、ボウモア34年と共に、逸すべからざる一本。

 【ハイランド・パーク '78 カスク・ストレングス(ザ・ボトラーズ)】

   シェリー・カスクの18年もの、57.6度のシングル・カスク。

   蒸留を経たスピリッツのアルコール度数は約70度。加水により63度前後に落としてから樽に詰める。年数にもよるが、マチュレーションガ終わる頃には、樽の中のウイスキーは50〜60度位になっている。カスク・ストレングスとはその樽出しの状態の酒精をいう。

 【ハイランド・パーク25年 カスク・ストレングス】※

   ハイランド・パークのフラッグ・シップ。53.5度のオフィシャル・ボトル。

   オフィシャルでは他に、200周年の21年ものと2000本限定の12年ものカスク・ストレングスが美味。オフィシャルとG.M社のボトルはすべてシェリー・カスク。従って、オーク樽を用いたインデペンデント・ボトルとは香味が全く異なります。

 

 

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