【アライド・ディスティラーズ】

 ロング・ジョン社やウィットブレッド社と兄弟会社であり、サントリーとも提携。サントリー・アライド社の名でラフロイグ、グレンドロナックなどのオフィシャル・ボトルを頒布している。現在、スキャパ、ラフロイグ、グレントファース、グレンバーギ、トーモア、ミルトンダフ、アードモア、グレンカダム、グレンドロナックの9各蒸留所を所有。インペリアル、ロッホサイド、インヴァリーブンの3蒸留所は閉鎖。

【インヴァー・ハウス】

 スペイバーン、バルミニック、ノックドゥー、バルブレア、プルトニーの5蒸留所を所有。ちなみに、アイルブレイやキリーロッホのブランドで識られたグレン・フラグラー蒸留所は85年に閉鎖。

【ウイリアム・グラント&サンズ】

 キニンヴィー、グレンフィディック、バルヴィニーの3蒸留所を所有。キニンヴィー蒸留所のボトルは未頒布。なお、エアシャーやレディバーンのブランドで識られたレディバーン蒸留所は75年に閉鎖。

【グレンモーレンジ】

 グレンモーレンジの他、グレン・マレイ、アードベッグの3蒸留所を所有。

【シーバス・ブラザーズ】

 シーグラム社の子会社。アルタナベーン、キャパドニック、グレン・キース、グレン・グラント、グレンリヴェット、ストラスアイラ、ブレイヴァル、ベンリアック、ロングモーンの10蒸留所を所有。すべてがスペイサイドの蒸留所であり、ブレンデッド・ウィスキー「シーバス」のリッチで優雅な味わいの原点となっている。

【ジム・ビーム・ブランド】

 バーボン・ウィスキーで識られるジム・ビーム社がインヴァゴードン社とホワイト&マッカイ社を買収、設立されたカンパニー。93年から94年にかけて、アイル・オブ・ジュラ、トミントゥール、ダルモア、フェッターケアンの4蒸留所を順次所有。タムナヴーリン、タリバーディンの2蒸留所は閉鎖。アイラ島のブルイックラディ蒸留所は2001年初頭に売却。購入者はインデペンデント・ボトラーのマーレイ・マクデヴィッド社。

 「スティルマンズ・ドラム」の名でヴィンテージ・コレクションを頒布。傘下の蒸留所より「アイル・オブ・ジュラ」「タムナヴーリン」「タリバーディン」「ダルモア」「フェッターケアン」「ブルイックラディ」の6点をボトリング。トミントゥール蒸留所のボトルのみ頒布されていない。

【デュワーズ/ウィリアム・ローソン】

 現在では共にラム酒で識られるバカルディ社の子会社。オルトモーア、クレイゲラヒ、アバフェルディ、ロイヤル・ブラックラ、マクダフの5蒸留所を所有。マクダフ蒸留所がウィリアム・ローソン社の所有にて、他はデュワーズ社。デュワーズ社系の蒸留所はすべて98年にU.D社より買収せしもの。

【バーン・スチュアート Burn Stewart Distillers】

 バーン・スチュアート蒸留所は1940年後半に設立、グラスゴーに本拠地を置く。1988年以降、急速に拡大し、世界で第三位の独立したスコッチ蒸留所となった。1990年にインヴァーゴードン社よりディーンストン蒸留所を、カーク・リーヴィングトン・プロパティ社よりトバモリー蒸留所を相次いで買収。ブローカーまたはボトラーとしても活躍。

【ハイランド・ディスティラーズ】

 ハイランド・パーク、ブナハーブン、グレンロセス、タムドゥー、マッカラン、グレングラッサ、グレンタレットの7蒸留所を所有。ちなみに、アライド・ディスティラーズ社が所有するオークニー島のスキャパ蒸留所は現在、ハイランド・パークによって運営されている。

 「ザ・ファミリー・シルヴァー」の名でヴィンテージ・コレクションを頒布。「グレングラッサ」と「ブナハーブン」をボトリング。同じ傘下のタムドゥー、ハイランドパークの両蒸留所のボトルは頒されていない。また、同社はフランスのレミー・マルタン社やコアントロー社と業務提携を結んでいる。

【ハウス・オブ・キャンベル】

 ペルノ・リカール社の子会社。アベラワー、グレンアラヒ、エドラダワーの3蒸留所を所有。

【ユナイテッド・ディスティラーズ United Distillers】

 ギネス・グループの一員にして、半数近い蒸留所(閉鎖もしくは休業中の蒸留所を含め、現時点で36箇所)を所有するスコッチ業界最大のウィスキー・メーカー。ダグラス・レイン社をはじめ、多くのボトラーへ樽を供給していたが、昨今樽売りを極力控えている。モルト・ウィスキーのブームに鑑みて、傘下の蒸留所のオフィシャル・ボトルの販売を促すためと思われる。

 「タリスカー」「ラガヴーリン」「クラガンモア」「オーバン」「ダルウィニー」「グレンキンチー」の6種のモルト・ウィスキーで構成される「クラシック・モルト・シリーズ」とそのダブル・マチュアード版の「ザ・ディスティラーズ・エディション」は夙に識られる。

 前述の6社以外の傘下の蒸留所のボトルを編んだ「花と動物シリーズ」、稀少なカスク・ストレングスを蒐めた「レア・モルト・セレクション」があり、「花と動物シリーズ」所収の蒸留所の一部ヴィンテージものを、カスク・ストレングスにて限定頒布したシリーズもある。ゴードン&マクファイル社のボトル同様、シングル・カスクではなく、いささか個性に欠けるが、ラベルをはじめ、パッケージ・デザインには非凡なものがある。

 「花と動物シリーズ」は「クラシック・モルト・シリーズ」に収録されなかった蒸留所のモルト・ウィスキーを90年代に入ってからボトリング、現在なお進行中。当初は蒸留所の売店もしくは近隣での販売を目的としたため、蒸留所周辺に棲息する動物や植物の絵柄をあしらい、土産品としての付加価値を高めた。なお、このシリーズに先行する形で、アバフェルディ、インチガワーなど、ラベルに蒸留所の絵を刷り込んだオフィシャル・ボトルが80年代に頒布されていた。

 「アバフェルディ」「インチガワー」「オルトモーア」「カリラ」「クライヌリッシュ」「クレイゲラヒ」「グレン・オード」「グレンダラン」「グレンロッシー」「スペイバーン」「ダフタウン」「ダルユーイン」「テナニャック」「バルミニック」「ピティヴェアック」「ブラッドノック」「ブレア・アソール」「ベンリネス」「マノックモア」「モートラック」「リンクウッド」「ローズバンク」「ロイヤル・ブラックラ」の23種が頒布されている。2001年のリリースに「オスロスク」「グレン・エルギン」「グレン・スペイ」「ストラスミル」の4種あり。

 「レア・モルト・セレクション」は「花と動物シリーズ」の好評に気をよくしたU.D社がすでに閉鎖された蒸留所や稀少なモルト・ウィスキーを樽出しにて94年よりボトリング。より高価、よりレアなコレクションとして愛飲家に大いなる刺激と満足感を与えた。

 「インチガワー」「オルトモーア」「カードゥ」「カリラ」「クライヌリッシュ」「クレイゲラヒ」「グレン・オード」「グレンダラン」「グレンユーリー・ロイヤル」「グレンロッキー」「コールバーン」「セント・マグデラン」「ダフタウン」「ダラス・ドゥー」「ダルユーイン」「テナニャック」「ノース・ポート」「バルミニック」「ヒルサイド」「ブローラ」「ベンリネス」「ベンローマック」「ポート・エレン」「マノックモア」「ミルバーン」「モートラック」「リンクウッド」「ローズバンク」「ロイヤル・ブラックラ」「ロイヤル・ロッホナガー」の30種が頒布されている。

 「花と動物シリーズ」のカスク・ストレングスは「レア・モルト・セレクション」を補う形で96年よりボトリング。現在のところ「アバフェルディ」「オルトモーア」「カリラ」「クライヌリッシュ」「ダルユーイン」「ブレア・アソール」「モートラック」「リンクウッド」「ローズバンク」の9種が頒布されている。

【ロッホ・ローモンド・ディスティラリー】

 ロッホ・ローモンド、リトルミル、グレン・スコシアの3蒸留所を所有。80年代に入ってから操業停止と再開を繰り返していたグレン・スコシア蒸留所はお隣のスプリングバンク蒸留所の協力を得て、2001年に操業再開。リトルミル蒸留所は現在、博物館になるべく、改装中である。

 

 

 いくつかの飲食関係のグループ企業がウィスキー産業を支配している。その嚆矢がディスティラーズ・カンパニー・リミテッド(D.C.L)社であり、そのD.C.L社とベル社をギネス社が買収して作ったのがユナイテッド・ディスティラーズ(U.D)社である。同社は1990年代後半にインターナショナル・ディスティラーズ・アンド・ヴィントナーズ(I.D.V)社と合併、ディアジオ(U.D.V)社となった。国際的なシンジケートの誕生が、今後のシングル・モルト、ひいてはウィスキー産業をいかようにリードしていくのかが気掛かりである。

 他にグループ企業として、アライド・ディスティラーズ社(ロング・ジョン社やウィットブレッド社と兄弟会社)、ハイランド・ディスティラーズ社、シーグラム社の子会社であるシーバス・ブラザーズ社、バカルディ社の子会社であるデュワーズ社、ペルノ・リカール社の子会社であるハウス・オブ・キャンベル社、インヴァー・ゴードン社とホワイト&マッカイ社がバーボン・メーカーに買収されて作られたジム・ビーム・ブランド(J.B.B)社などがある。また、アライド・ディスティラーズ社はサントリーと提携、サントリーはボウモア、グレン・ギリー、オーヘントッシャンの各蒸留所を所有している。なお、わが邦のメーカーがオーナーをつとめる蒸留所としては、宝酒造が所有するトマーチン、ニッカが所有するベン・ネヴィスがある。  

 

 

ですぺらMENUへ