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報道番組   一考   

 

 前項で「高倉健、全共闘、澁澤龍彦を並べると、共に思想のなさに於いて見事に統一されている」と書いた。思想のないのが必ずしも徒爾とは限らないが、このようなことはですぺら掲示板でしか書かれない。SNSだと雑言として物議を醸す。流れに棹差すのがSNSの常であって、わたしのように逆らっていると顰蹙を買うばかりである。SNSは北アフリカで見られたごとく、独立や革命に対する民意のうねりをなすと同時に、一方で衆を頼んだ横暴や苛斂を生む、謂わば諸刃の剣である。

 報道ステーションの前身ニュースステーションのメインキャスターは久米宏だった。ニュースステーションはテレビ朝日とオフィス・トゥー・ワンによる共同制作だったが、報道番組の制作が外部に委託された端緒でなかったか。これも異例だが、久米の個人的意見を番組に挟み込むことで従来の番組との差別化を図った。
 久米の文言や番組の基本姿勢は、久米がマスコミ人として持っている反権力、反体制、反戦争と云った信条を色濃く反映したものだった。このような趣旨はNEWS23(ツースリー)の筑紫哲也と同じものだが、一部自民党や保守派などから偏向しているとの根強い批判や反発を招いた。
 報道ステーションもニュースステーション同様、制作は外部委託で、古館プロジェクトがその任に当たっている。今回の朝日新聞の誤報(捏造)問題に対する古館の発言と、1996年3月25日の多事争論に於ける筑紫哲也のTBSビデオ問題に対する発言を重ね合わせるとふたりの性格、信条の違いが読み取れて興味深い。

 朝日新聞の「信頼回復と再生のための委員会」社外委員4氏のうちのひとり国広正は「朝日新聞には「事実(ファクト)に対する謙虚さ」が欠けています。自らの主張にこだわるあまり、ファクトに対する詰めが甘いのです」と発言しているが、ファクトを蔑ろにする新聞など存在してはならないとわたしは思っている。
 新聞社はファクトを伝え、読者はその是非を判断する。新聞社が主張を持つなど賢しら口を一歩も出るものであるまい。それでなくとも、朝日新聞は先の大戦に於いて戦争を煽りつづけた。戦争礼讃から反対へと立ち位置がいかに変わろうとも、その根幹にはオピニオンリーダーとしての矜恃と逞しい商魂がある。
 前記4氏のうちの古市憲寿は、「「再生」ということは、朝日新聞は一度「死んだ」という理解でいいのでしょうか」と著しているが、これは筑紫哲也の趣旨を擬えている。新聞社と放送局ではまるで違うが、古舘伊知郎はおそらく筑紫哲也より、朝日新聞より、さらに左翼に位置する信条の持ち主であろう。
 いずれにせよ、朝日新聞が惹き起こした問題が引き金になって戦後民主主義を標榜する人々、いわゆる進歩的文化人たちは肩身が狭くなったに違いない。谷沢永一に「悪魔の思想―「進歩的文化人」という名の国賊12人」との著書がある。同書は後年「反日的日本人の思想―国民を誤導した12人への告発状」「自虐史観もうやめたい!―反日的日本人への告発状」と改題、上梓されている。いずれにせよ、今では「反日左翼、自虐史観」との非難が渦巻いている。

 「反日左翼、自虐史観」が右巻きか左巻きか知らないが、鳴門の渦潮はコリオリの力に関係なく、潮流に沿って右側には右巻き、左側には左巻きの渦が巻くそうな。ちなみに、ポーの「メールストロムの渦」は右巻きである。
 ひとの信条に右左があるように、ファクトにもきっと左右があるに違いない。どうでも良いこととどうでも良くないことが、左右との概念それ自体が入れ子構造になっているのかもしれない。自らの立ち位置や信条と云ったものは無視するに如くはない。右から左へ左から右へ、小から大へ大から小へ、思惟するとは迷うことであり、立ち徘徊ることであり、相互嵌入の世界に踏み入ることである。一瞬でも立ち止まれば、それは精神の腐敗を死を意味するのかもしれない。

追記
 すてきなサイトである、ぜひお読みあれ。とりわけ渦と螺旋の深淵は面白い。

 http://www5a.biglobe.ne.jp/~outfocus/reft-right.htm


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2014年12月16日 00:37に投稿された記事のページです。

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